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ガブリエルは母の部屋へと向かった。 ルビーのロザリオをいじる。 部屋に入ると、ガブリエルは絶句した。 母の肖像画が、何者かによって無座にも切り裂かれていた。 「ひどいわ、誰がこんなこと・・」 ガブリエルは肖像画を撫でながら言った。 『モンテリオよ、気にしないで。』 アンヌはそう言って息子の頭を撫でた。 「お母様・」 『舞踏会へ行きなさい。そこであなたはきっとお父様に会えるはず。』 アンヌは風とともに姿を消した。 「お母様っ?!」 その頃、モンテリオはワインを飲みながら、ガブリエルを始末する策を練った。 (まずはニコルに姉の『秘密』を話そう。) 『そうはさせなくてよ、モンテリオ。』 「アンヌ、お前は死んだはずっ?!」 『息子のことが心配でね。』 アンヌはそう言うと、モンテリオの顔を扇子で叩いた。 『あなたは私が死んでいい気になっているようだけど、あなたの企みは全て知っていたわ。』 アンヌはモンテリオを後ろから抱き締めながら言った。 「アンヌ、私はお前を愛していた。だがお前は私を拒んだ。だから殺した。」 アンヌはモンテリオの耳たぶをかんだ。 「私はお前が一生私に振り向いてくれなくても、お前を愛していたかった。それなのに、それなのに何故っ!」 『決まっているでしょう。』 アンヌはモンテリオの首を絞め始めた。 『あなたのことを、愛していなかったからよ。』 「私は本気だった。本気でお前を・・」 フランスへと向かう馬車の中で、目を覚ました。 「どうした?いつもの君らしくないぞ、ジャスミン。」 「・・ごめんなさい、つい考え事をしてしまって。」 「まぁいい。パリに着けば君の姿に皆釘付けだ。」 そう言ってギリシャの商人・アレストロピウスはカリンの肩を抱いた。 (カリン、あいつは殺したわ。) 窓の外に、一瞬アンヌの姿が見えた。 「アンヌ様っ!」 だがそこには誰もいなかった。 「どうした、ジャスミン。」 「いいえ、何でもありませんわ。」 カリンはそう言って馬車の中へと戻った。 (アンヌ様、僕を見守っていらっしゃるんですか?) ガブリエルは身支度を終え、王宮へと向かった。 (必ずお父様と会える。) 父が残してくれたルビーの耳飾りを触りながら、ガブリエルは前だけを見つめた。 −運命の夜が、始まる。− アンヌ、モンテリオを殺してしまいました。 もとから夫のことを嫌っていたんですね。 なんだか不幸な結婚生活を送っていたんですね。 Novel&Message by 千菊丸さん |