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ドルヴィエ邸に帰ったモンテリオは、ルイのことを考えていた。 ルイは、野心家の若者だ。彼の狙いはガブリエルだ。 『ガブリエルを、私に下さい。』 没落貴族の彼が、何故名門の家の娘を妻にしたいのか? ガブリエルに惚れているからか。 ふっ、まあいい。 理由はどうであれ、これでガブリエルを始末できる。 ノックの音がして、ルイーゼが入ってきた。 「旦那様、ご用とは?」 「おまえに頼みがある。」 モンテリオは手紙をルイーゼに渡した。 「これを、ベッツラ嬢に。」 リリアン=ベッツラは、自慢の赤毛を梳いていた。 今日は、宮廷舞踏会だ。 父に頼んで最高級のベルベットを使い、銀糸を縫い込んだドレスを着る予定だ。 これでみんなの注目を集められるわ。 ルシファーも私にいちころよ。 舞踏会にガブリエルが来なければ、の話だが。 ガブリエルが舞踏会に出ると、男は皆彼女を見る。 流れるような金髪と、ルビーのような紅く澄んだ瞳。陶磁器のような白い肌。 絶世の美女。 家柄・美貌・頭脳すべてが揃った女。 豪商の娘という、金で地位を築いた自分にはたちうちできない要素をガブリエルは持っている。 リリアンは父に頼んで、ルシフェルとの縁談を取り付けたのだ。 (負けないわ。ガブリエルから、ルシファーを奪い取ってみせる。) ルイは部屋にある服を選んでいた。 その時、メイドが箱を手に部屋に入ってきた。 「モンテリオ様からお届け物です。」 箱を開けると、見事な舞踏服が出てきた。 『楽しい夜を−M−』 ルイは身支度を済ませ、馬車へと乗り込んだ。 王宮舞踏会。 今まで一度も縁のなかった場所で、ガブリエルにダンスを申し込もう。 そして、彼女を手に入れる。 ルシフェルなどに負けるものか。 リリアンはモンテリオからの手紙を見て、怒りに震えていた。 ガブリエルへの、明白な殺意が、彼女の中で芽生えた瞬間であった。 (ガブリエル、殺してやる・・) 彼女の想いに呼応するかのように、ろうそくの炎が激しく燃え上がった。 「お嬢様、馬車の支度ができました。」 「今行くわ。」 リリアンはドレスの裾を払い、部屋を出た。 リリアン、恐いです。 女の嫉妬は恐いですね。 ガブリエルは彼女のことをなんとも思っていないんですが、リリアンは勝手にガブリエルをライバル視しています。 ルシフェルはリリアンのことを嫌ってます。 Novel&Message by 千菊丸さん |