PURE

第二幕
『波乱』

第9話


作:千菊丸さん
アレキウスは、ラテン語の授業に、ガブリエルが沈んだ顔をしているのが気になった。
「どうした、ガブリエル?浮かない顔じゃな。」
「先生はいつから、私が男だということを知っていましたか?」
アレキウスはガブリエルにその時が来たことを知った。
「私についておいで。」
アレキウスはアンヌの部屋へとガブリエルを導いた。
「私はお前が男だと、生まれた時から知っておる。」
「どうして黙っていたんです?」
「母君がそう望まれたからじゃ。」
そう言うとアレキウスひゃアンヌの肖像画を見上げた。
「お前の母君は、モンテリオが産まれた子が男なら殺すことを知っていた。お前を妊娠中、母君はわしに産まれてくる子にこの事を話すよう、言われたのじゃ。
モンテリオの魔手からお前を守ろうと、母君は女としてお前を育てた。」
ガブリエルは黙って聞いていた。
「ガブリエル、何故母君がそうしたか、わかるか?」
「わかりません。私はルシファーに子どもを産んであげられない。家族を、作ってあげられない・・」
ガブリエルはそう言って涙を流した。
「こんなに苦しむのなら、最初から言ってくれればよかったのに!」
アレキウスはガブリエルの叫びを黙って聞いている。
「どうして、どうして私だけ!」
アレキウスはガブリエルの頭を撫でながら、言った。
「ガブリエル、苦しんだのは母君も同じじゃ。」
「お母様も?」
「長い間母君は孤独だった。お前の父君と会い、愛し合って産まれたお前は何よりも大切な息子じゃ。その息子を守るためにやったことなのじゃ。」
ガブリエルは昨日の母を思い出した。
母は、成長した自分を見て涙を流していた。
「お母様は、私を守りたかったの?だから女として育てたの?」
「そうじゃ、ガブリエル。お前の命を守るため、アンヌ様は力を尽くされた。
 それと、ガブリエル。
 母君はいつもお前の傍にいる。肉体が滅びても、魂はお前に寄り添っている。
 そのことを、忘れぬように。」
「はい・・」
ガブリエルは、母の深い愛を知り、涙を流した。
「さあ、授業に戻ろう。」
ガブリエルはアレキウスの言葉に励まされた。
母は自分を守ってくれている。

ガブリエルとアレキウスが去った部屋にある隠し扉から、モンテリオが現れた。
「なるほど、そういうことか・・」
モンテリオは妻の肖像画を見た。妻の顔は、どこかモンテリオを嘲笑っているかのように見える。
モンテリオ肖像画を引き裂いた。
(アンヌ、死してもなお、私を苦しめたいか!)
モンテリオは、アンヌが1番大切にしていたものがわかった。

それは、ガブリエルだ。

ガブリエルを、殺してやる。









モンテリオに、ガブリエルが男だということがバレてしまいました。
ドロドロの愛憎劇に拍車がかかりそうです・・。

Novel&Message by 千菊丸さん


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