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アレキウスは、ラテン語の授業に、ガブリエルが沈んだ顔をしているのが気になった。 「どうした、ガブリエル?浮かない顔じゃな。」 「先生はいつから、私が男だということを知っていましたか?」 アレキウスはガブリエルにその時が来たことを知った。 「私についておいで。」 アレキウスはアンヌの部屋へとガブリエルを導いた。 「私はお前が男だと、生まれた時から知っておる。」 「どうして黙っていたんです?」 「母君がそう望まれたからじゃ。」 そう言うとアレキウスひゃアンヌの肖像画を見上げた。 「お前の母君は、モンテリオが産まれた子が男なら殺すことを知っていた。お前を妊娠中、母君はわしに産まれてくる子にこの事を話すよう、言われたのじゃ。 モンテリオの魔手からお前を守ろうと、母君は女としてお前を育てた。」 ガブリエルは黙って聞いていた。 「ガブリエル、何故母君がそうしたか、わかるか?」 「わかりません。私はルシファーに子どもを産んであげられない。家族を、作ってあげられない・・」 ガブリエルはそう言って涙を流した。 「こんなに苦しむのなら、最初から言ってくれればよかったのに!」 アレキウスはガブリエルの叫びを黙って聞いている。 「どうして、どうして私だけ!」 アレキウスはガブリエルの頭を撫でながら、言った。 「ガブリエル、苦しんだのは母君も同じじゃ。」 「お母様も?」 「長い間母君は孤独だった。お前の父君と会い、愛し合って産まれたお前は何よりも大切な息子じゃ。その息子を守るためにやったことなのじゃ。」 ガブリエルは昨日の母を思い出した。 母は、成長した自分を見て涙を流していた。 「お母様は、私を守りたかったの?だから女として育てたの?」 「そうじゃ、ガブリエル。お前の命を守るため、アンヌ様は力を尽くされた。 それと、ガブリエル。 母君はいつもお前の傍にいる。肉体が滅びても、魂はお前に寄り添っている。 そのことを、忘れぬように。」 「はい・・」 ガブリエルは、母の深い愛を知り、涙を流した。 「さあ、授業に戻ろう。」 ガブリエルはアレキウスの言葉に励まされた。 母は自分を守ってくれている。 ガブリエルとアレキウスが去った部屋にある隠し扉から、モンテリオが現れた。 「なるほど、そういうことか・・」 モンテリオは妻の肖像画を見た。妻の顔は、どこかモンテリオを嘲笑っているかのように見える。 モンテリオ肖像画を引き裂いた。 (アンヌ、死してもなお、私を苦しめたいか!) モンテリオは、アンヌが1番大切にしていたものがわかった。 それは、ガブリエルだ。 ガブリエルを、殺してやる。 モンテリオに、ガブリエルが男だということがバレてしまいました。 ドロドロの愛憎劇に拍車がかかりそうです・・。 Novel&Message by 千菊丸さん |