PURE

第二幕
『波乱』

第7話


作:千菊丸さん
「全くなんなんだ、あいつ。」
2人は邸に戻り、ルシフェルはルイの態度に怒っていた。
「ガブリエルだけに挨拶して・・無礼にも程がある。」
ルシフェルは没落貴族のルイが、自分を無視したことが許せないようだった。
「そんなに目くじら立てなくていいじゃない。」
ガブリエルはそう言って結った髪を解いた。
金色の髪が床にふわりと広がる。と同時に、彼女がいつもつけている香水が部屋に広がる。
ルシフェルはガブリエルの髪が好きだった。
闇のような自分の漆黒の髪とは違って、太陽のような美しい髪。
絹糸のようにさらさらとした感触。ガブリエルの髪は、ルシフェルが世界で一番好きなものだ。
「お姉様、さっきリューイに会ったよ。とても怒ってる。」
ガブリエルの弟・ニコルが部屋に入ってきた。
ニコルは母親似の切れ長の瞳で、髪は漆黒。スラリとした長身で、女の子によくモテる。
「きっと僕たちのこと、見てたんだ。ガブリエルを諦めたらいいのに。」
ルシフェルはそう言ってため息をついた。
「リューイ、お姉様にベタ惚れだもん。お姉様を嫁にするって、言ってた。」
ニコルはそう言うと、手紙を姉に渡した。
「リューイからだよ。」
ガブリエルは手紙を開いた。
そこには−
『ガブリエル、お前を嫁にするまで絶っ対に諦めねぇ!』
紙がはみ出すほどの字で、リューイはデカデカと書いていた。
「ぷっ」
ガブリエルは噴き出した。
「バカだね、リューイ。」
「ぶえっくしょんっ!」
「リューイ、どうした?風邪でもひいたのか?」
「いや・・」
(あのネクラ野郎、覚えておけっ!)

髪を梳き終わり、ガブリエルは亡き母の部屋に行った。そこは誰も使っていない。
本棚や家具の位置も、そのままだ。
母が新だ時のまま。
ガブリエルは母のベッドに触った。埃がたまっている。
(お母様・・)
父が姿を消した今、母が恋しい。
『いつまでも私を忘れないで。』
死に間際に言った母の一言。
「忘れるわけ、ないじゃない・・」
ガブリエルはそう言って、ベッドに倒れ込んだ。
「どうして、私を置いて逝ってしまったの?私、お母様と話をしたかったわ。いっぱい色んな事を・・・」
そう言うとガブリエルは涙を流した。
ルビーの耳飾りが揺れる。
その時、一陣の風が吹いた。
『ガブリエル・・』
ガブリエルは目を見開いた。
彼女の目の前には、亡くなった母が立っていた。









アンヌが、ガブリエルの前に。
『黄泉がえり』をモデルにしました。
アンヌは、幼い娘を残して逝ったことが心残りだったんでしょうね。
次回ルシフェルとガブリエルの関係に、急展開が。

Novel&Message by 千菊丸さん


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