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1551年、冬。 ガブリエルは17となり、美しく成長した。 父・カリンは10年前に突然姿を消した。 モンテリオとソフィアに虐げられながらも、ガブリエルは母・アンヌの乳母マリーと、コリーヌ、タルミーナ、そして家庭教師のアレキウスに支えられて今日まで生きてきた。 10年前、父は自分を抱きしめ、一緒に寝てくれた。 『ガブリエル、父さんを許しておくれ。』 涙を流しながら何度も自分に謝る父の姿が頭から離れない。 父は今、どうしているのだろうか?どこかで生きているのだろうか? ノックの音がして、ルシフェルが入ってきた。 「どうしたの、ルシファー?今日はベッツラさんのところじゃなくて?」 「リリアンのところなんて、つまんないさ。君といた方が楽しいよ。」 「まぁ、ルシファーったら。」 そう言ってガブリエルは笑った。 「今日は何をする?雪合戦でもしようか?」 「嫌よ、新しいドレスを汚したくないもの。」 結局ガブリエルとルシフェルは森を散歩することになった。 初冬の冷たい空気は、どことなく2人を緊張させた。 ガブリエルは、ルシフェルと手をつなごうと手を伸ばした。 ルシフェルは笑って、彼女の手をつないだ。 雪に彩られた並木道は、どこか幻想的だった。 ガブリエルはある場所で足を止めた。 そこは、背の高い木に囲まれた小さな茂みだった。 「ここは?」 「ここ、お父様とお母様が初めて会ったところなの。」 ガブリエルは両親がいた頃の思い出を思い浮かべていた。 「お父様とお母様は、はじめは互いに意地を張って、お母様はお父様のことをからかってばかりいたんですって。でも、お母様とお父様は互いに愛し合って、私が産まれた・・・」 ガブリエルは言葉を切り、感慨深げに目を閉じた。 もしここでアンヌとカリンが出会わなかったら、自分は産まれていない。 「私、お父様に会いたい。会いたいの・・」 そう言うと、ガブリエルは涙を流した。 10年前、涙型の紅玉の耳飾りを残して消えた父。 母も死に、ガブリエルとニコルは心細かった。 生きているなら、一目だけでもいい。 「ガブリエル、僕の胸でよければ、泣いてもいいよ。」。 そう言ってルシフェルがガブリエルを抱きしめた。 「君はここまで頑張ったよねニコルと2人でたくさん辛い思いをして。」 ガブリエルは声をあげ、ルシフェルの胸で泣き続けた。 2人を、密かに見ている者がいた。 10年後。 新たなロマンスが生まれる予感。 ガブリエルは美人に成長し、やんちゃだったルシファーは凛々しい少年に。 次回、新キャラ登場。 Novel&Message by 千菊丸さん |