PURE

第二幕
『波乱』

第4話


作:千菊丸さん
どこかで声がする。
『・・・月』
懐かしい声。
『火月・・』
ぼやけていた輪郭が、次第に明らかになる。
(アンヌ様?!)
自分を呼んでいる男は、アンヌそっくりだった。
男の姿は、アンヌに変わる。
『カリン。』
自分の手を優しく握るアンヌ。
『お前、私の怨みを晴らそうとしてるの?』
(だって、アンヌ様はあの人に・・)
『私は知っていたわ、何もかも。もういいのよ、カリン。もういいの・・』
アンヌはそう言って微笑んだ。
(でも、あいつがアンヌ様をひどい目に・・)
『憎しみで心を闇にしないで。私は幸せだったのよ。それだけは覚えておいて。』
そう言うと、アンヌはフッと姿を消した。
「アンヌ様!」
正気に戻ったカリンは、目の前の光景を見て愕然とした。
そこには、左腕が焼け爛れ、痛みに呻くモンテリオの姿があった。そして粉々に砕けた本棚や、焼け落ちたカーテンが部屋にあった。

「お前、何者なの?」
ソフィアが恐怖に凍りついた顔で言った。
「ぼ、僕は・・」
そう言ってソフィアに近づこうとすると、ソフィアはカリンの顔を燭台のそこで殴った。
「寄らないで、化け物!」
カリンは部屋から追い出された。自分の部屋に戻り、鏡を見ると、そこには全く違う自分がいた。
長く伸びた金の髪。鋭い爪。
(これは僕・・?)
カリンは鏡の前で崩れ落ちた。

ガブリエルは父の姿を探していた。
その時、廊下でモンテリオと会った。
モンテリオは、ガブリエルの額を見た。
「化け物・・お前らは化け物だ!」
モンテリオはそう言ってガブリエルを殴った。ガブリエルはひたすら耐えていた。
「忌み子よ!お前は地獄から来た化け物よ!」
ソフィアはそう言うと、ガブリエルをモンテリオとかわりがわりに殴った。
ガブリエルは泣きながら父の部屋に行った。
全身アザだらけのガブリエルを見て、カリンは娘を力いっぱいに抱きしめた。
「お父様、私は化け物なの?私は・・」
「ガブリエル、ごめんな・・お父さんのせいで、ごめんな・・」
カリンは娘を抱きながら、嗚咽した。

自分達は、得体の知れない化け物だ。
自分でもわからないほど、内に魔物が潜んでいる。


一体、自分達は何者なのか?

カリン達は知らなかった。

前世からの、逃れられない宿命(さだめ)にあることを。









カリン、変幻してしまった。
前世からの忌まわしい呪いが、現世へと・・。

次回は10年後に移ります。

Novel&Message by 千菊丸さん


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