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ガブリエルは母の死後、部屋にこもり、ベッドで泣き続けていた。 ニコルは母の死がわからないようで、母の姿を探している。 カリンは、侍女部屋でこれからのことをコリーヌ達に話していた。 「アンヌ様が亡くなられて、僕は子ども達をどう育てたらいいか・・」 カリンはそう言って涙を流した。 「ガブリエルの『秘密』を、いつうち明けたらいいのかと思って・・誰かを好きになって、あの子がその人の子どもを産みたいと言ったら、僕はどうしたら・・」 「ガブリエル様が真実を知ったら、どうなるのかしら?いままで女の子として育てられたのに・・」 コリーヌはそう言ってカリンにハンカチを差し出した。 ガブリエルが男であることは、アンヌの出産に立ち会ったマリー、コリーヌ、タルミーナ、カリン、そしてガブリエルの家庭教師・アレキウスだけである。 アンヌは、夫がカリンの子を妊娠しているのを知っており、生まれた子が男児なら殺すことも知っていた。 ガブリエルが生まれた時、夫の魔手から我が子を守るため、アンヌはガブリエルの性別を偽って育てたのだ。 アンヌはガブリエルを妊娠している時から、急死するまでのガブリエルへの想いを、日記に克明に記している。 それと、ガブリエルが生まれた後にガブリエルに宛てた手紙。 この2つの中に、ガブリエルの『秘密』が書かれている。 アンヌの日記と手紙は、アンヌの知人が保管しており、モンテリオの手の届かないところにある。 「ガブリエル様を、モンテリオ様からお守りしなければ。そして、ガブリエル様の『秘密』を守らなくては。」 マリーはそう言ってカリンの肩を叩いた。 「アンヌ様の想いを、無駄にしないためにも、僕は子ども達を育てます。」 カリンはそう言って侍女部屋を出た。 「カリンちゃん、たくましくなったわ。」 「そうね、これもアンヌ様のお陰ね。」 カリンはガブリエルの部屋に入った。 ガブリエルは泣きすぎて目の下に隈ができていた。 「ガブリエル、泣くのはおよし。これからはお父様が守ってあげるから。」 「本当?」 「うん。お父様とガブリエルとニコルで、力を合わせよう。」 ガブリエルの顔に笑顔が戻った。 「お母様はお前達のことを見守ってくださっていると思うよ、きっと。」 ガブリエルは母の形見のルビーのロザリオを取り出した。 「お母様・・」 その時、ルイーゼが部屋に入ってきた。 「旦那様がお呼びよ。」 「何のようだろう?」 「さあね。」 そう言ってルイーゼは背を向けた。 ルイーゼはアンヌとのこともあってか、カリンに対する態度は冷たい。 カリンがモンテリオの部屋に入ると、そこにはアンヌの詩を持ったモンテリオが、底意地の悪い笑みを浮かべていた。 Novel&Message by 千菊丸さん |