PURE

第二幕
『波乱』

第1話


作:千菊丸さん
アンヌの葬儀が厳かに行われた。
フランス宮廷を仕切っていた才女の突然の死を、みな嘆き悲しんだ。
カリンは葬儀に密かに参列した。
ガブリエルは突然の母の死を信じられず、母の棺にとりすがって泣いた。
「お母様、私をおいていかないで!」
棺に土がかけられると、ガブリエルは棺に走り寄り、穴に身を投げた。
「ガブリエル様っ、いけません!」
マリーがガブリエルを抱き上げる。ガブリエルは手足をバタつかせて暴れた。
「離してよ!お母様と死にたいのぉー!」
ガブリエルは母が埋葬されるのを見て涙ぐんだ。カリンはガブリエルとニコルを抱きしめた。

モンテリオは、冷めた目でその光景を見ていた。
むしろ彼は、妻の死を喜んでいた。
ローマの母から渡された毒は、効いたようだ。

(あの女がいなくなった今、私はドルヴィエ家の財産を手に入れることができる。)

聡明であった妻は、もういない。

「お姉様がいなくなられたから、この家はあなたのものですわね。」
「ああ、やっと私のものにできた。あとは・・」
モンテリオはカリン達を見た。

「邪魔者を始末するだけだ。」

ガブリエルは父の胸で泣いていた。
優しく、いつも愛してくれた父とは違い、母は厳しかったが、母は母なりに自分を愛してくれた。
自分に多くの知恵を授けてくれた母は、もういない。
冷たい土の中に埋葬されてしまった。
ガブリエルは、母の葬儀が終わっても泣き続けた。
母の墓石にすがりつきながら。

カリンは母の死を悲しむガブリエルを見て、胸が痛んだ。
それと同時に、彼も深い悲しみに沈んだ。

いつも独りだった自分を愛してくれたアンヌ。
そして自分の子を産んで育ててくれたアンヌ。

『お前と私は、運命で繋がっていたのよ。』

カリンがもしアンヌと会わなかったなら、彼の人生は違うものになっていただろう。

ガブリエルはまだ母の墓にすがりついていた。
カリンは、ガブリエルが産まれた朝のことを思い出した。
赤ん坊が男の子だとわかったとき、アンヌはこう言った。
『この子を女の子として育てるわ。カリン、もし私がいなくなったら、この子をお願い。』
あの時のガブリエルの重みが、今も腕に残っている。

男の子だが、女の子として育てられたガブリエル。
やがて恋に落ち、誰かを好きになるかもしれない。
その時、ガブリエルが相手の子どもを産みたいと言ったら?

お前には無理だと言って、真実を話せるのだろうか。

できないだろう。
(アンヌ様、僕はどうすれば・・)

ガブリエルの『秘密』の重さに気づいたカリンは、1人頭を抱えた。

ガブリエルを守れるのは、自分しかいないのに。









PURE、新章スタート。
『波乱』。
アンヌとカリンの息子・ガブリエル、モンテリオとソフィアの息子・ルシフェルとの愛の物語。
女として育てられたガブリエル。
自分を慕うガブリエルを想い始めるルシフェル。
2人の想いは徐々に近づく。
だが、2人の周囲には陰謀と、愛憎の嵐が待ち受けようとしていた。
Novel&Message by 千菊丸さん


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