PURE

第一幕
『再会』

第25話


作:千菊丸さん
「・・ヌ様、アンヌ様!」
誰かの呼ぶ声がして、アンヌは目を開けた。
アンヌは王宮にある長椅子に寝かされていた。
「気がつかれたんですね、よかった!」
カリンがアンヌの手が握って、涙ぐんでいた。
「私は・・一体・・」
「急に倒られたんですのよ。」
ソフィアがわざとらしく大げさな様子で扇子をあおいだ。
「でもおめでたい事ですから、よろしいのではなくて?」
「めでたい事?」
ソフィアの取り巻きの1人が言った。
「さっきお医者様がいらしてね。妊娠3ヶ月ですって。」
『妊娠』という二文字が、アンヌにはピンとこなかった。
「誰が?」
アンヌの言葉に、みな爆笑した。
「アンヌ様に決まってるじゃぁありませんか!」
「おめでとう、お姉様。」
周囲の祝福の声に、アンヌは自分が妊娠していることが段々とわかってきた。
「これでローマのお義母様も安心ですわね。」
「ドルヴィエ家にもようやく跡継ぎが・・」
「いやいやめでたい、めでたい。」
自分が妊娠していることよりも、周囲はドルヴィエ家の安泰や跡継ぎのことを話している。
アンヌの心の中で、再び黒い感情がわき上がってきた。
「・・いらない。」
アンヌの声に、周囲は静まった。
「そんなの、いらない。」
アンヌは長椅子から降りて、歩き出した。
「アンヌ様、急に動いては・・」
「構わないわ。」
カリンはアンヌの後を慌てて追った。
「一体どうなさったんですか、急に?」
「どうでもいいでしょ。放っておいて!」
アンヌは自分を引き留めようとするカリンの手を払った。
王宮を出ると、馬車がないことがわかった。
「馬車はどうしたの?」
「帰してしまいました。」
アンヌは舌打ちをした。アンドレの姿を見えた。
「アンドレ、馬を貸してくださらないこと?」
アンヌに声をかけられたアンドレは赤くなって、どもった。
「も、も、もちろんですっ!」
「じゃ、そういうところだから。」
アンヌは白馬にまたがって王宮を去っていった。
「アンヌ様、お待ちを!」
カリンを無視して、アンヌは走るスピードをあげていった。

(私は子どもなんかいらない!私が欲しいのは、権力だけよ!)

もうすぐ邸に着く。アンヌはまたスピードをあげた。
その時、1台の馬車がアンヌの前に現れた。
アンヌは馬車をとっさによけたが、彼女は馬から振り落とされた。
「う゛っ」
下腹部に激痛が走った。遠くで人の声がした。
「アッ、アン様っ!」
「お嬢様、しっかりなさって!」
アンヌの意識は、闇に堕ちた。









アンヌがカリンちゃんの子を妊娠。
周囲から跡継ぎを期待され、子どもをいらないと言ってしまうアンヌ。
流産しそうになりますが、どうなるのでしょうか?

Novel&Message by 千菊丸さん


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