PURE

第一幕
『再会』

第22話


作:千菊丸さん
ルイーゼは拳を震わせながら、アンヌの部屋を後にした。
ルイーゼはカリンのことを好きだった。カリンがこの家に来てから、ずっと。
声をかけることは恥ずかしくて、遠くから見ることだけで精一杯だった。
でも、いつかは告白しようと決めていた。
だが、カリンがいつもアンヌのことを話す度に、ルイーゼの心は乱れた。
「奥様、なんだか僕を子ども扱いするんだ。」
「奥様がね、髪を梳いてくれってきかないんだ。」
(どうして平気な顔であたしの前で奥様の話をするの?あたしの気持ち、知ってるくせに。)
アンヌがライバルじゃ、かなわない。
頭がよくて、美人で、貴族で。
自分にはないものを、持っていて。
ルイーゼはアンヌにかすかな憎しみを持っていた。
廊下を曲がろうとすると、ルイーゼはソフィアとぶつかった。
「きゃぁっ!」
「すいません、大丈夫でしたか?」
「ええ。」
ソフィアはそう言ってドレスの裾を払った。
「あなた、アンヌの侍女ね。私の部屋にいらっしゃい。」
ソフィアに言われるがまま、ルイーゼは彼女の部屋に入った。
アンヌの部屋よりやや見劣りするが、内装が豪華なのは変わらなかった。
「ここへおかけなさい。」
ソフィアは扇子でウサギの毛皮が敷いてある椅子をさした。
ルイーゼは落ち着かなさげに椅子に座った。
「お前、私の元で働かないこと?」
「えっ」
ルイーゼはソフィアの言葉に目を丸くした。
「アンヌのところで働くのは、もう嫌なんでしょう?気難しい主人は文句ばかり。それにお前の想い人も奪ってしまうし。」
「ど、どうしてそのことを・・」
「あなたがあのカリンていう子を見る目つきでわかったのよ。」
そう言うとソフィアはルイーゼに微笑んだ。
「私なら、あなたの役に立てるわ。お給料はこっちの方がいいし。それにー」
ソフィアにルイーゼの髪を触った。
「あの女を憎んでいるのは、1人だけじゃないと分かったしね。」
ルイーゼの手に金貨が入った袋を握らせながら、ソフィアが言った。
「よろしくお願い致します。」
ルイーゼはこうして、ソフィア付きの侍女となった。
「あなたに、秘密を教えてあげるわ。」
ソフィアはそう言って、ルイーゼの耳元で何かをささやいた。

アンヌは自分の腕の中で眠るカリンを見て、微笑んだ。
カリンの左耳の紅玉が、闇の中で光る。
その紅玉は、どこかで見たことがあるような気がした。
(私達は、どこかで繋がっているのかもしれないわね。)
カリンの額に口づけをし、アンヌは眠りに就いた。
時は、ゆっくりと流れた。









アンヌに対して黒い嫉妬にさいなまれているルイーゼに対して、ソフィアが策を巡らす。
アンヌまさに四面楚歌。
でも聡い女ですから、愛人や夫が企んでいることはわかるかも。

カリンとの運命の繋がりを感じるアンヌ。

Novel&Message by 千菊丸さん


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