PURE

第一幕
『再会』

第17話


作:千菊丸さん
男は、市で自分を買おうとした商人だった。
「奥様、わざわざこんところへお越しいただいて、ありがとうございます。」
商人は両手の指輪を光らせながら笑みを浮かべた。
「この生きた宝石を、渡すおつもりで来たのですか?」
「いいえ、違うわ。」
アンヌはピシャリと商人に言った。
「実は、頼みがあるのよ。」
そう言ってアンヌは従者に目配せした。従者は外へと出ていった。
「あなたのところに売りたい子がいるの。名前はアンドリュー。年は12。」
その時、馬車から叫び声がした。カリンが見ると、従者が少年をひっぱっている。
「離して、離してよ!」
「かわいい子でしょ?」
アンヌはそう言って、アンドリューを商人に見せた。
「いい子だ。ここで仕込めば、売れっ子になるだろう。」
「じゃ、決まりね。」
アンヌはほくそ笑んだ。商人はアンドリューを連れて行った。
「いやだ、お母様、お母様っ!」
アンドリューは泣き叫んで腕をバタバタさせていた。
「帰るわよ。」
アンヌはそう言って館をあとにした。
「アンヌ様、あの子は?」
「邸に戻ったらわかるでしょう。」
そう言ったきり、アンヌは邸に就くまで黙っていた。

邸に着くと、玄関ホールで女が騒いでいた。
「アンドリューはどこ?あの子を返して!」
女は、汚い身なりをしていて、髪はボサボサだった。
「あら、ミッテルラン子爵夫人。どうなさったの、そんな格好をなさって?」
アンヌはそう言って冷笑を浮かべた。
「アンドリューを返して!あの子をどこへやったの?」
ミッテルラン夫人は、アンヌをにらみながら言った。
「アンドリュー?ああ、あの可愛い坊やね。あの子は、さっき、ある所に売ったわ。」
「どこに?」
「男色専門の売春宿へよ。」
アンヌの言葉を聞いたミッテルラン夫人は、その場で泣き崩れた。
「魔女!どうしてアンドリューを!」
「出すぎた真似をしたからよ。」
アンヌはそう言ってミッテルラン夫人の顔を扇子で叩いた。
「私を閣議から追い出そうとしたでしょ?そんなことをして、権力が手にはいるとでも思ったの、金で爵位を買った成り上がり者が!」
「アンドリューを返して!あの子には罪がないわ!」
アンヌは鼻で笑い、ミッテルラン夫人のあごを持ち上げた。
「お前のような者は、地獄に堕ちればいいのよ。」
ミッテルラン夫人はアンヌを罵りながら邸を出ていった。
「卑しい者は、一生卑しいままなのよ。」
部屋に向かって歩いてゆくアンヌを、カリンは恐怖に満ちた瞳で見つめた。









アンヌのダークな面。
アンヌは血統というものにこだわってます。
生まれついての貴族こそが貴族である、という考えを持っています。
金で爵位を買い、ちゃっかり貴族となった「成り上がり者」は軽蔑します。

恐かったアンヌのダークな一面。
皆さんはどう思われましたか?

Novel&Message by 千菊丸さん


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