PURE

第一幕
『再会』

第16話


作:千菊丸さん
「天使さまだ、天使さまだ。」
男の子はそう言って、カリンの髪をつかんだ。
「いっ、痛い。」
金髪を思いっきりひっぱられ、カリンは悲鳴をあげた。
男の子はカリンによじ登り、髪をひっぱった。
(誰か、助けてえ〜!)
男の子は、髪の毛をひっぱるのをやめようとしない。それどころか、ますます面白がってカリンの髪をひっぱる。
このままでは、髪が抜けてしまう。カリンがそう思ったとき、アンヌが正面の階段を下りてきた。
「ルシファー、何をしているの、おやめ。」
アンヌが冷たい声でそう言うと、男の子はそそくさとカリンから離れた。
「全くどうしようもない子だこと。母親の躾がなってないわね。」
フンと鼻を鳴らしてアンヌが言うと、男の子は向こうへと駆け出していった。
「あの子は?」
「前 馬車の中で言ったでしょう?愛人の子のルシフェルよ。顔は可愛いけど、育ちの悪さがにじみ出てるわ。」
吐き捨てるようにアンヌは言った。
「アンヌ様、あの子が嫌いなんですか?」
「そうね、どちらかと言うとあの子の母親が嫌いよ。卑しくて教養のない女・・」
扇子をあおぎながら、アンヌは言った。そしてフランチェスカのいる部屋を見た。
「あの女もそう。卑しい者同士、仲良くなるのは当然ね。」
「でもソフィア様もフランチェスカ様も貴族でしょう?どうしてそんな事を・・」
「今は、ね。」
アンヌはそう言うと、意地の悪い笑みを浮かべて続けた。
「ソフィアの母親の家は、金で身分を買った、山賊の成り上がり者。それにあの女もそう。
あの女はいかがわしい街の女。モンテリオの父親があの女を妾にしたから、今の地位があるのよ。」
アンヌはそう言って馬車に乗り込んだ。カリンは慌てて彼女の後を追った。
「明日はウサギ狩りね、楽しみだわ。」
アンヌはそう言うと、カリンの額を見た。
「その入れ墨も生まれつき?」
「はい。」
カリンの額には奇妙な目の文様をかたどった入れ墨があった。
「生まれた時からあって、親戚からは『忌み子の証』だって・・」
「そうかしら?幸運に恵まれているという印じゃなくて?」
「冗談はやめてください。」
カリンの言葉にアンヌは耳を貸さず、馬車から降りた。カリンも主に続いて降りた。
馬車が着いたのは、王宮ではなかった。
飾り窓がある壮麗な館だった。
「ここは?」
「ついて来ればわかるわ。」
そう言うとアンヌは邸の中へと入っていった。
邸は、美少年達で溢れていて、彼らは裸同然の格好をしていた。
(もしかして、ここは・・)
カリンは嫌な予感がした。
その予感は的中した。
邸の広場の向こうから、男がカリンの方へと歩いてきた。
その男に、カリンは見覚えがあった。










Novel&Message by 千菊丸さん


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