PURE

第六幕
『障害』

第29話


作:千菊丸さん
「私は、いままで何のために生まれてきたのよ!」
百合は、虚ろな目をして銃口をこめかみにあてた。
「私は、あなたのことを愛していたのに!」
百合はそう叫んで、引き金をひいた。
空気を切り裂く破裂音がして、百合はゆっくりと畳の上に倒れた。
長い薄茶の髪は乱れ、その目には涙が流れていた。
「百合・・」
有匡はコートで百合の遺体を隠した。
「行こうか。」
「へえ。」
百合は夫に捨てられたショックで自殺したというニュースが、翌朝のニュースで流れていた。

10年後−2010年、6月 京都・祇園。

火月は、舞妓・芸妓時代にお世話になった『宵乃家』へ挨拶をしに行った。
「おかあはん、お久しぶりどす。」
「火月ちゃん、えらい久しぶりやな。」
文枝はそう言って火月の膨らんだ下腹部を見た。
「今何ヶ月なん?」
「9ヶ月どす。」
「そうかぁ。あんたと有匡はんが結婚してからもう3年か・・」
「おかあはん、今度は子ども連れて行きますさかいに。」
「楽しみにしてるわな。」
「遅かったな。」
『宵乃家』を出ると、有匡が待っていた。
「おかあはん、うちのこと喜んでくれはりましたえ。」
「そうか。」
有匡はそう言って、火月のと腕を組んだ。
あの悲劇から、およそ600年以上の時が経った。
幾度も巡り会い、愛し合った2人は、ようやく結ばれた。
2人の愛は、もう誰にも引き裂かれることはない。
2人の愛は、夜空の星のように、永遠に輝くのだ。
いままでも、そしてこれからも。





−PURE・完−




これでピュアシリーズ完結となります。
時を越えた壮大な有匡さんと火月ちゃんの愛の物語、いかがだったでしょうか?
ここまで読んでくださった皆様、本当に有り難うございました。

Novel&Message by 千菊丸さん


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