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「私は、いままで何のために生まれてきたのよ!」
百合は、虚ろな目をして銃口をこめかみにあてた。 「私は、あなたのことを愛していたのに!」 百合はそう叫んで、引き金をひいた。 空気を切り裂く破裂音がして、百合はゆっくりと畳の上に倒れた。 長い薄茶の髪は乱れ、その目には涙が流れていた。 「百合・・」 有匡はコートで百合の遺体を隠した。 「行こうか。」 「へえ。」 百合は夫に捨てられたショックで自殺したというニュースが、翌朝のニュースで流れていた。 10年後−2010年、6月 京都・祇園。 火月は、舞妓・芸妓時代にお世話になった『宵乃家』へ挨拶をしに行った。 「おかあはん、お久しぶりどす。」 「火月ちゃん、えらい久しぶりやな。」 文枝はそう言って火月の膨らんだ下腹部を見た。 「今何ヶ月なん?」 「9ヶ月どす。」 「そうかぁ。あんたと有匡はんが結婚してからもう3年か・・」 「おかあはん、今度は子ども連れて行きますさかいに。」 「楽しみにしてるわな。」 「遅かったな。」 『宵乃家』を出ると、有匡が待っていた。 「おかあはん、うちのこと喜んでくれはりましたえ。」 「そうか。」 有匡はそう言って、火月のと腕を組んだ。 あの悲劇から、およそ600年以上の時が経った。 幾度も巡り会い、愛し合った2人は、ようやく結ばれた。 2人の愛は、もう誰にも引き裂かれることはない。 2人の愛は、夜空の星のように、永遠に輝くのだ。 いままでも、そしてこれからも。 −PURE・完−
これでピュアシリーズ完結となります。 時を越えた壮大な有匡さんと火月ちゃんの愛の物語、いかがだったでしょうか? ここまで読んでくださった皆様、本当に有り難うございました。 Novel&Message by 千菊丸さん |