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カリンは恐る恐るドアをノックした。 「お入り。」 いかにも不機嫌そうな顔をしたアンヌが机に向かって何か書いていた。 「それは?」 「あの2人から聞いたでしょ。答えるものではないわ。」 「それ、どうするんですか?」 「これね・・」 アンヌはカリンにほくそ笑んだ。 「今度の新年に開かれる音楽会で歌うのよ。」 「そんなことして大丈夫なんですか?」 「大丈夫よ。ほとんどラテン語が分からない人ばっかりだし。」 そう言ってアンヌはペンを置き、朝食を食べはじめた。 「あのぅ・・」 「なに?」 アンヌはパンをスープにひたしながら言った。 「ルイって、どなたですか?」 アンヌは食べるのをやめ、ハッタとカリンをにらんだ。 「それ、どこで聞いたの?」 「昨日の夕方・・」 「お前は知らなくていいの!」 アンヌはそう言うと、カリンを部屋から追い出した。 「今日の奥様はご機嫌斜めのようね。」 「あたし達、コキ使われるわ。」 そう言ってコリーヌとタルミーナが階段の手すりを磨いていた。 「誰か、誰かいませんかー?」 門のところで叫び声がした。 「あら、あのオカマ枢機卿、何しに来たのかしら。」 「またアンヌ様に迫る気よ。」 「しつこいわねぇ。」 「このあいだ後つけられたって、アンヌ様が言ってたわよ。」 「ストーカー?いやぁねぇ。」 コリーヌとタルミーナが、2人同時にカリンを見つめた。 「な、なんですか?」 「あのストーカー、まいてきてv」 「どうして、僕が・・」 「あんたアンヌ様の小姓でしょ。」 「主人をストーカーから守るのも小姓の仕事よ。」 コリーヌとタルミーナはカリンを玄関に押し出した。 「どうして僕って、ツイてないんだろう・・」 ボソッと呟き、我が身の不幸を嘆くカリンは、アンドレに向かっていった。 「すいません、大変申し訳ありませんが、主は今、たてこんでおりまして・・」 「ええっ、そうなの?!僕大事な話があってきたのに・・」 そう言ってアンドレは、肩を落として去っていった。 「ああ、僕は愛の女神様に嫌われているんだ。」 カリンは邸の中へ入った。 そこには、3歳位の、男の子が座っていた。 「天使さまだー」 男の子はそう言って、カリンに抱きついた。 Novel&Message by 千菊丸さん |