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「あなた、どこ行くの!?」
百合はそう言って夫に取りすがった。 「お前には関係ないだろう。」 有匡は冷たく百合に言い放ち、マンションを出た。 タクシーを拾い、東京駅で最終の新幹線に乗った。 京都には、自分のマンションがある。 京都支社があるので、そこで働けばいい。 有匡はノートパソコンを開き、火月にメールを送った。 『今家を出た。 これからは毎日会えるな。』 翌朝、有匡のメールを見た火月は、すぐに返事を出すことが出来なかった。 (有匡はんが・・家を・・) 一体どういうことなのだろう? 「火月ちゃん、ちょっとええか?」 声がして振り向くと、そこには美咲と『綾乃家』の芸妓・綾乃が立っていた。 「あんた、土御門の若様と親しいんやて?」 綾乃はそう言って、火月を睨んだ。 「ちょっと2人で話がしたいねん。美咲ちゃん、席外してくれるか?」 「へえ。」 襖が閉まると同時に、綾乃は火月の頬を打った。 新キャラ、また登場です。 火月ちゃんや美咲ちゃんが籍を置いている置屋『宵乃家』のライバルである置屋『綾乃家』の人気芸妓・綾乃さんです。 年は27歳。 三味線と舞の名手であり、竹を割ったような性格です。 曲がったことが大嫌いです。 祇園町では、『お局様』的存在で、美咲ちゃんをはじめとする新人舞妓に対しては厳しいです。 次回、綾乃さんの怒りの原因がわかります。 Novel&Message by 千菊丸さん |