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「あんな女と結婚したいってモンテリオに言われたとき、気絶しそうになったわ。あんな無愛想で、高飛車な女は見たことないわ。」 フランチェスカはアンヌの陰口を叩きながら、パイを平らげた。 「まぁ、聡明であることは間違いないわ。ラテン語で詩を作り、リュートを弾き、馬を巧みに操り、宮廷では一目置かれている存在・・非の打ちどころがな美女・・でもアンヌには心がないわ。女としての心が。」 そう言うとフランチェスカはカリンを見た。 「お前は?」 「私はアンヌ様付きの小姓で、カリンと申します。」 「小姓ですって?あの女は何を企んでいるのかしら。」 カリンはこれ以上アンヌの悪口を聞きたくなかったので、部屋を出た。 「カリンちゃん、奥様フテ寝しちゃったわ。」 ルイーゼはそう言ってこめかみを押さえた。 「大奥様がいらっしゃるといつもこうなんだもの。」 「大奥様とアンヌ様って、仲が悪いんですか?」 「悪いなんてもんじゃないわよ。2人は水と油よ。大奥様が来るたびに、奥様はふさぎ込むの。」 ルイーゼはそう言うと、キッチンへと向かった。 そのあと、アンヌ付きの侍女・コリーヌとタルミーナが廊下を歩いてきた。 「全くなんなのあのババァ。いきなり来るなっつうの。」 「自己中にも程があるのよ。手紙でもよこせっつうの。」 コリーヌはそういってカリンを見た。 「あら、誰かと思えばカリンちゃんじゃない?」 「コリーヌさん。」 「あのババァの相手は疲れたでしょ?」 「ええ・・」 「アンヌ様は辛いのよぉ。ババァがネチネチ言うからさ。あのヘビ男のガキなんて作りたくないのに。」 「それなのにババァが強要してるから、アンヌ様はイライラしてんのよ。」 タルミーナがそう言って鼻を鳴らした。 「でもカリンちゃんがいるから大丈夫よ。」 「そぉねぇ、カリンちゃんは癒し系ボーイだもの。」 「アンヌ様も気に入っているようだし。」 「そんな・・アンヌ様いつも僕をからかうんだもん。」 「それはカリンちゃんがカワイイからよぉ。アンヌ様は嫌いな人には完全ノータッチだもの。」 「カリンちゃんのこと、すごく気に入ってんのよ。ルイーゼはシカトされまくりよ。」 タルミーナがそう言ってカリンにグラスを差し出した。 「あの、これは?」 「これ?ワインよ。ババァが来るときはいつもこれを飲んでフテ寝するのよ。」 「ラテン語でババァの悪口を書きまくってね。」 コリーヌは笑いながら言った。 「カリンちゃん、悪いけどこれ届けてくれない?」 「え゛っ、何で僕が・・」 「だってあんた、癒し系ボーイじゃん。」 「あたし達、仕事が山ほどあんのよ。」 「えっ、ちょっと・・」 「頼むわよ!」 コリーヌとタルミーナがいなくなり、カリンはグラスを手に、呆然としていた。 式神シスターズの生まれ変わり登場。 コリーヌ=小里、タルミーナ=種香 アンヌの良き理解者です。 ラテン語で姑の悪口を書きまくる嫁。 語学に長けているからできることですよね。 恐ろしい嫁だ・・。 Novel&Message by 千菊丸さん |