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第五幕
『炎の涙』

第二章
第10話


作:千菊丸さん
1945年3月、東京。
花梨は女学校を卒業し、『いわしろ』を切り盛りしていた。
「すまないねぇ、あんたには苦労ばかりかけさせちまって。」
そう言って菊は申し訳なさそうな顔をした。
「いいのよ、お母さん。」
花梨はそう言って足をひきずりながら部屋へと向かった。
4年前、彼女は車にひかれ、足が不自由になった。
花梨はその時、綾香が自分を殺そうとしたのだと悟った。
匡峰とはあれ以来、連絡を取っていない。
今は生きているのか死んでいるのかどうか、わからない。
この4年間、日本では食料をはじめとする物資が不足し、人々はみな飢えていた。
そして東京、大阪をはじめとする都市には、アメリカ軍の空襲が毎日あった。
花梨は、匡峰のことが気になっていたが、それどころではなかった。

1945年3月9日。
その日、花梨達は店を閉め、深川の親類宅へと泊まっていた。
「今日はやけに静かだねぇ。」
「そうね、母さん。」
夜10時。
深川に空襲警報が鳴り響いた。
「花梨、逃げるよっ!」
菊は花梨の手をひいて、下町中を逃げ回った。
「お母さん、私を置いて逃げて・・」
「そんなこと、できるわけないだろっ!」
菊がそう叫んだ時、燃えた電柱が2人に倒れてきた。
「お母さん、危ないっ!」
花梨はそう叫んで菊を突き飛ばした。
「花梨ー!」
誰かが、自分を呼んでいる。
『花梨。』
目を開けると、そこには愛しい人の姿が。
「まさ・・みね・・様?」
「しっかりするんだ、花梨!」
匡峰は花梨の手を握りながら、泣きじゃくっていた。
「わたし・・幸せ・・でした・・」
花梨はそう言って、匡峰の頬を撫でた。
「あなたに会えて・・幸せでした・・」
花梨はそう言って、匡峰の腕の中で、息を引き取った。





−第五幕『炎の涙』第二章・完−
感想は千菊丸さんまで
千菊丸さんのHPはこちら




第二章、終了です。
中途半端な文章になってしまいました。
第六幕『障害』は、京都・祇園と東京を舞台に、祇園の舞妓・火月ちゃんと、財閥の御曹司・有匡さんとのラブストーリーです。
2人はついに結ばれるのか?
けれども2人の間には大きな障害が・・。
Novel&Message by 千菊丸さん


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