PURE

第一幕
『再会』

第12話


作:千菊丸さん
アンヌは雉のローストを頬張っているかりんを見ながら、包み焼きのパイを開いた。
カリンはアンヌがパイを開いたことも知らず、クランベリーパイを食べていた。
その時、彼の鼻先を何かがくすぐった。カリンがパイの隣にあるクルミをとろうとすると、手を何かにかまれた。
「いたっ」
カリンはそう言ってクルミを取り、ちらっと目を向けるとー
包み焼きのパイには、隅までリスがぎっちりとひしめきあっていた。
「ひわ゛ぁ!」
カリンは驚き、腰を抜かしていた。アンヌが噴き出していた。
「ひっかかったわね。さっきのお前の顔、みものだったわ。」
扇子で口元を隠しながら、アンヌ腹を押さえていた。
「また僕をからかったんですねっ!」
カリンは頬をふくらました。
「だってお前、面白いんだもの。」
アンヌはまだ笑っている。目元には涙がたまっている。
「アンヌ様の意地悪・・」
そのとき、マリーが慌てた様子で入ってきた。
「お、お嬢様!」
「なぁに、マリー?どうしたの、そんなに息を切らして。」
「フ、フランチェスカ様が・・」
「あの女がどうかしたの?」
マリーが答えようとしたとき、彼女の背後に人影が現れた。

「お久しぶりね、アンヌ。」
「ええ。」
フランチェスカ=サルディッナーレは、白く混じった黒髪を結い上げ、骨張った顔でアンヌを見た。
「モンテリオにさっき会いましたよ。お前、モンテリオを殴ったんですって?」
「あの人が先につかみかかってきましたのよ。」
アンヌはそう言ってフランチェスカを見た。
「アンヌ、あなたはモンテリオの妻なのよ。どうしてモンテリオを立てようとしないの?」
「孫の顔を見せろと催促をしにわざわざローマからいらしたの?」
アンヌの口調は次第に刺々しくなっていった。
「もう子どもができていいはずよ。それなのにお前ったら、政治にのめり込むばかり。お前は女なのよ、アンヌ。子どもを産み育てるのは女の仕事でしょう?」
フランチェスカの言葉に、アンヌは顔をしかめた。
「私は、子どもなど望んでいませんわ。あの人と結婚したのは、家の利益のためだけですわ。」
アンヌは一言一言、扇子を叩きながら言った。
「あなたは権力のことしか考えてないのね。」
フランチェスカはアンヌをバカにしたような口調で言った。
「ええ、私は権力に魅入られてますもの。」
そう言うとアンヌは椅子から立ち上がり、部屋を出た。
「気分がすぐれないので、休ませていただきますわ。」
「アンヌ様っ、お待ちをっ!」
ルイーゼが慌ててアンヌの後を追った。
「全く、可愛い気のない女。」
フランチェスカはそう言って雉のローストに手を伸ばした。









嫁vs姑。 嫌味を言いにわざわざローマから来た姑。
それを嫌味で返す嫁。
嫌味の応酬ですね。

アンヌがまたカリンをからかって・・。
この回ではカリンはリアクション王です。
次回、式神シスターズの生まれ変わりが出ます。

Novel&Message by 千菊丸さん


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