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「あなた、昨日はどこへ行ってらしたの?」
朝食の席で、綾香はそう言って、匡峰を睨んだ。 「どこでもいいだろう。いちいちお前の許可がいるのか?」 「わたくし知ってますのよ。あの料亭の娘の所に行ったでしょう。」 綾香は匡峰に紅茶をかけた。 「わたくしという者がありながら、芸者上がりの料亭の娘など! 許しませんわよ!」 「私はただ、花梨さんに相談を持ちかけられただけだ。」 「相談? 何の相談でしたの?」 「出かけてくる。」 「お待ちになって、あなた!」 綾香はそう言って、匡峰の腕を掴んだ。 だがその腕を、匡峰は振り払った。 「『親しき仲には礼儀あり』だろう、綾香? 他人のあら探しをするのはやめろ。」 「あら探しって・・わたくしはあなたのことが心配で・・」 匡峰は、もう綾香の言葉を聞いていなかった。 「まぁ若様、ようこそお越しくださいました。つまらないものですけれど、もうすぐお料理をお持ちいたしますんで。」 菊の言葉に、匡峰は微笑んだ。 「菊さん・・花梨さんの学費のことですが・・私が全面的に援助したいと思っています。」 「本当ですか?」 「ええ、花梨さんには是非とも女学校を卒業して欲しいと思っています。これまでお世話になったご恩をお返ししたいのです。」 「ありがとうございます。」 菊はそう言って、深々と頭を下げた。 Novel&Message by 千菊丸さん |