PURE

第五幕
『炎の涙』

第二章
第5話


作:千菊丸さん
「あなた、昨日はどこへ行ってらしたの?」
朝食の席で、綾香はそう言って、匡峰を睨んだ。
「どこでもいいだろう。いちいちお前の許可がいるのか?」
「わたくし知ってますのよ。あの料亭の娘の所に行ったでしょう。」
綾香は匡峰に紅茶をかけた。
「わたくしという者がありながら、芸者上がりの料亭の娘など! 許しませんわよ!」
「私はただ、花梨さんに相談を持ちかけられただけだ。」
「相談? 何の相談でしたの?」
「出かけてくる。」
「お待ちになって、あなた!」
綾香はそう言って、匡峰の腕を掴んだ。
だがその腕を、匡峰は振り払った。
「『親しき仲には礼儀あり』だろう、綾香? 他人のあら探しをするのはやめろ。」
「あら探しって・・わたくしはあなたのことが心配で・・」
匡峰は、もう綾香の言葉を聞いていなかった。
「まぁ若様、ようこそお越しくださいました。つまらないものですけれど、もうすぐお料理をお持ちいたしますんで。」
菊の言葉に、匡峰は微笑んだ。
「菊さん・・花梨さんの学費のことですが・・私が全面的に援助したいと思っています。」
「本当ですか?」
「ええ、花梨さんには是非とも女学校を卒業して欲しいと思っています。これまでお世話になったご恩をお返ししたいのです。」
「ありがとうございます。」
菊はそう言って、深々と頭を下げた。










Novel&Message by 千菊丸さん


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