PURE

第五幕
『炎の涙』

第二章
第4話


作:千菊丸さん
花梨が匡峰を連れて行ったのは、近所の神社だった。
花梨は匡峰に、家計が苦しくて女学校を辞めざるおえないことを話した。
「お母さんは私に、女学校を卒業して貰いたいんだと思うんです。でも、うちのお店は最近経営が苦しくて、それどころじゃ・・」
「そうか・・だからあんなに暗い顔を・・」
匡峰は、そう言って唸った。
「『いわしろ』の女将さん夫婦には、何かと世話になってるし・・このことは、考えておくよ。」
そう言って匡峰は去っていった。
「若様に学費のこと、話したのかい?」
花梨が匡峰に会って話したというと、菊は目を丸くさせた。
「あの若様がねぇ・・」
「お母さん、匡峰様のこと知ってるの?」
「知ってるも何も、匡峰様のことはちっちゃい時から知ってるさ。」
菊はそう言って煙草を吸った。
「匡峰様のお母様・・匡峰様が7つの時に亡くなられているけど・・その人は、うちの隣の『やましろ』の娘さんだったのさ。大恋愛をした末に、土御門家に嫁に入って、嫁ぎ先で散々いびられてこき使われて、しまいにゃ心を壊して死んじまったのさ。あたしは匡峰様にとっちゃあ母親みたいなもんなんだよ。」
「へぇ、そうなの・・」
花梨は、匡峰の過去を聞いてそう言った。
「若様は、なんて?」
「『考えておく』って・・」
「そうかい。匡峰様にとっちゃあ、長い間世話になったあたしに恩を返したいんだろうねぇ。」
菊はそう言ってため息を付いた。










Novel&Message by 千菊丸さん


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