PURE

第五幕
『炎の涙』

第二章
第2話


作:千菊丸さん
「ねぇ凛夏ちゃん、あの人誰?」
花梨がそう言って匡峰を見ると、凛夏は大笑いした。
「花梨ちゃん、知らないの? あの人は土御門匡峰様よ!」
「土御門って、あの土御門?」
土御門財閥は、新橋界隈ではちょっと名が知れているどころか、その名は日本中に轟いていた。
今や土御門財閥は、土木・建築業、レストラン事業など、数々の事業を手掛けているお大尽様なのだ。
「そうよ、知らなかったの?」
「ううん、そんなんじゃないけれど・・なんだかあの人とは、前にも会ったような気がして・・」
「そう・・」
店が終わった後、一晩中花梨は匡峰のことばかり考えていて眠れなかった。
それは、匡峰も同じだった。
花梨と目があった時、匡峰は懐かしいものが急にこみあげてきたのを感じた。
今とは違う時代に、どこかで会った様な気がするのだ。
(あの子には惹かれるものがある。)
隣では、妻の綾香が寝息を立てていた。
綾香とは、政略結婚だ。
匡峰は、気位が高いだけで何の取り柄もない綾香を嫌っていた。
それに、綾香には男がいるということを、匡峰は知っていた。
(私は、大事な選択を間違えたのかな・・)
匡峰はため息を付いて、眠りに就いた。
「あなた、どこ行くの?」
「ちょっとな。」
匡峰はそう言って『いわしろ』へと向かった。










Novel&Message by 千菊丸さん


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