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1941年6月、東京。
「花梨、あっちにビール!」 「はぁい。」 新橋にある料亭『いわしろ』で、1人の少女がかいがいしく働いていた。 少女の名は、花梨。 金髪とルビーのような紅い瞳。 花梨はアメリカ人の父と、日本人の母との間に生まれた混血児だ。 彼女の両親は彼女が物心つく前に事故で亡くなっていた。 それ以来、花梨は彼女の母の芸者仲間であった『いわしろ』の女将・菊夫婦に育てられた。 夫婦の間には既に娘の凛夏がいたが、夫婦は花梨を実子と分け隔てなく育てた。 「今日は忙しいねぇ。腰が痛いったらありゃしない。」 菊はそう言って腰をさすった。 「お母さん、後は私がやるから先に休んでいて。」 花梨はそう言ってテーブルの片付けを始めた。 「すまないねぇ。あんたも区切りがついたら休みなよ。明日は学校があるんだからね。」 「わかってます。」 その時、扉が開いた。 「いらっしゃいませ・・」 花梨は客に挨拶しようとして、固まってしまった。 男が、そこに立っていた。 凛とした美貌の持ち主で、花梨はその美しさに目を奪われてしまった。 花梨が男に見とれていると、男と目があった。 「花梨、何してるの!」 凛夏の声で花梨は我に返り、慌てて男を席に案内しようとしたが、ビールを男にひっかけてしまった。 「あっ、ごめんなさいっ!」 花梨はそう言ってハンカチを取り出した。 「いいんだよ。」 男はそう言って、花梨に微笑んだ。 第二章は、太平洋戦争下の日本を舞台にした財閥の御曹司と日米ハーフの少女を主人公としたラブストーリーです。 全17話の予定でしたが、全10話となりました。 Novel&Message by 千菊丸さん |