PURE

第五幕
『炎の涙』

第二章
第1話


作:千菊丸さん
1941年6月、東京。
「花梨、あっちにビール!」
「はぁい。」
新橋にある料亭『いわしろ』で、1人の少女がかいがいしく働いていた。
少女の名は、花梨。
金髪とルビーのような紅い瞳。
花梨はアメリカ人の父と、日本人の母との間に生まれた混血児だ。
彼女の両親は彼女が物心つく前に事故で亡くなっていた。
それ以来、花梨は彼女の母の芸者仲間であった『いわしろ』の女将・菊夫婦に育てられた。
夫婦の間には既に娘の凛夏がいたが、夫婦は花梨を実子と分け隔てなく育てた。
「今日は忙しいねぇ。腰が痛いったらありゃしない。」
菊はそう言って腰をさすった。
「お母さん、後は私がやるから先に休んでいて。」
花梨はそう言ってテーブルの片付けを始めた。
「すまないねぇ。あんたも区切りがついたら休みなよ。明日は学校があるんだからね。」
「わかってます。」
その時、扉が開いた。
「いらっしゃいませ・・」
花梨は客に挨拶しようとして、固まってしまった。
男が、そこに立っていた。
凛とした美貌の持ち主で、花梨はその美しさに目を奪われてしまった。
花梨が男に見とれていると、男と目があった。
「花梨、何してるの!」
凛夏の声で花梨は我に返り、慌てて男を席に案内しようとしたが、ビールを男にひっかけてしまった。
「あっ、ごめんなさいっ!」
花梨はそう言ってハンカチを取り出した。
「いいんだよ。」
男はそう言って、花梨に微笑んだ。









第二章は、太平洋戦争下の日本を舞台にした財閥の御曹司と日米ハーフの少女を主人公としたラブストーリーです。
全17話の予定でしたが、全10話となりました。

Novel&Message by 千菊丸さん


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