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レイチェルに案内され、ボリニュイが入ったのは、エリザベスの部屋だった。 「お姉様の全てが知りたい・・あなたそうおっしゃったわよね?」 レイチェルはそう言ってボリニュイを見た。 「ええ。彼女がどうルドルフ皇太子様を思っていたのか、知りたいんです。」 「そう・・」 レイチェルはボリニュイを姉の部屋に入れた。 エリザベスの部屋には、写真やピアノなどが置かれた、こぢんまりとした部屋だった。 「下で私は待ってるから。」 レイチェルはそう言って部屋を出ていった。 ボリニュイはまずはじめに、日記を探した。 日記は、机の上にあった。 日記を開くと、25年前の事件の日付が最初のページに書かれてあった。 1889年2月5日 今日はルドルフ皇太子様に花を供えに行った。 彼は私と結婚していたら、どうなっていただろう? だが私は知ってしまったのだ。 彼の死を。 そしていつか、私が死ぬことも。 ボリニュイはエリザベスの日記を読み進めた。 少女の頃から、晩年まで、エリザベスは他人とは違う能力を持った事への苦悩、今の夫・フランソワとの幸せな生活を綴っていた。 「どう?何か判った?」 「ええ。」 ボリニュイはそう言ってエントランスホールへと行こうとしたが、レイチェルがその腕を掴んだ。 「一緒にお昼でもいかが?」 ボリニュイはレイチェルの言葉に、微笑んだ。 Novel&Message by 千菊丸さん |