PURE

第五幕
『炎の涙』

第一章
第10話


作:千菊丸さん
レイチェルに案内され、ボリニュイが入ったのは、エリザベスの部屋だった。
「お姉様の全てが知りたい・・あなたそうおっしゃったわよね?」
レイチェルはそう言ってボリニュイを見た。
「ええ。彼女がどうルドルフ皇太子様を思っていたのか、知りたいんです。」
「そう・・」
レイチェルはボリニュイを姉の部屋に入れた。
エリザベスの部屋には、写真やピアノなどが置かれた、こぢんまりとした部屋だった。
「下で私は待ってるから。」
レイチェルはそう言って部屋を出ていった。
ボリニュイはまずはじめに、日記を探した。
日記は、机の上にあった。
日記を開くと、25年前の事件の日付が最初のページに書かれてあった。
1889年2月5日
今日はルドルフ皇太子様に花を供えに行った。
彼は私と結婚していたら、どうなっていただろう?
だが私は知ってしまったのだ。
彼の死を。
そしていつか、私が死ぬことも。
ボリニュイはエリザベスの日記を読み進めた。
少女の頃から、晩年まで、エリザベスは他人とは違う能力を持った事への苦悩、今の夫・フランソワとの幸せな生活を綴っていた。
「どう?何か判った?」
「ええ。」
ボリニュイはそう言ってエントランスホールへと行こうとしたが、レイチェルがその腕を掴んだ。
「一緒にお昼でもいかが?」
ボリニュイはレイチェルの言葉に、微笑んだ。










Novel&Message by 千菊丸さん


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