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火月が足利の兵の放った矢を受けて瀕死の重傷を負っていた頃、足利に連行された有匡は、鎌倉の高級宿に監禁された。 有匡は、火月の身に何か起きたのではと、胸騒ぎがした。 目隠しをされ、部屋の隅に座らされた有匡は、ゆっくりと目を閉じた。 今は亡き父・有仁が、悲しそうな顔で有匡を見つめていた。 (父上、父上・・) やがて、有仁は姿を消した。 「久しぶりだな、有匡。」 目隠しを外され、有匡は誰かに蹴られた。見上げると、泰成がそこに立っていた。 「義兄上・・何故鎌倉に?」 「気安く呼ぶな、この化け物め!」 泰成はそう言うと有匡を蹴飛ばした。 「お前のせいで土御門家は面目丸潰れで、没落の憂き目に遭ってるんだ!お前が内裏を炎上させてからな!」 泰成は長年の恨みを有匡にぶちまけた。 「お前はいずれ京へと身柄を引き渡す・・極刑になるのが楽しみだ・・」 泰成はそう言うと低く笑った。 「父上、その人なの?父上が言ってた罪人は?」 泰成の背後に、有輝と同じ歳の子どもが様子をうかがうようにして立っていた。 「倫成、化け物の傍にあまり寄るな。」 倫成は汚い物を見るかのような目つきで有匡を見た。 「お前は一族の疫病神だ、この恥知らず。」 「倫成、もっと言ってやれ。こいつはあの妖物との間に子どもまで作ったんだ。」 泰成は息子の暴言を止めるどころか、煽っている。 「化け物から生まれた子は化け物だ。術者に嬲り殺されるんだ。」 倫成はそう言うと、有匡を足蹴にした。 「それはどうかな。」 有匡は倫成の足首をつかむと、床に引き倒した。 「いいか、良く聞け。私の子ども達はお前のようなクソッタレに比べればマシだ。家柄だけを鼻にかけて、たいした能力がないくせにやたらにいばるクソよりはな。」 「口を慎め、有匡!」 泰成は激昂し、泣きじゃくる息子を抱き寄せて怒鳴った。 「クソの親からクソの子が生まれる。いつから土御門家はクソの溜まり場になったんだ?はじめからクソの溜まり場だったな。」 ふん、と十八番の人をバカにしきったような笑みを浮かべながら、有匡は言った。 「この・・化け物が!お前達の子どもが土御門家で暮らすことになったら、さっさと追い出してやる!」 「私の子ども達は賢いぞ。」 お前の息子と違ってな、と有匡が言うと、泰成の顔は活火山のように赤くなっていた。 「クソの溜まり場には行くまい。母親の実家を頼るだろうよ。」 泰成父子が去った後、有匡は深いため息をついた。 有匡さん、泰成さんと再会する。泰成さんも息子の倫成君も、とんでもない奴だ。 最近町中でよく、マナーの悪い子どもに会うけど、その子の親もマナー悪いし、その上自分は悪いことはしてないって、開き直るんですよね。子は親の背中を見て育つというけれど、ロクでもない親に育てられた子どもは、ロクでもない子どもになるんですね。 囚われの身でありながら、毒を吐く有匡さん。子どもを侮辱されたことを怒ったんでしょうね。クソを連発してたし・・TVだと放送禁止用語で完全にアウトですね。 有匡さんの子煩悩な一面を書きたくて、ちょっと有匡さんに毒吐いてもらいました。 倫成君の将来が見えてきたな、この回で。 |