陰陽師・土御門有輝

第56話:誉


作:千菊丸さん
玉響は、琵琶を奏でていた。
そばには、2年前に生まれた雅和との子・誉(ほまれ)がいる。
雅和の面影を残している、最愛の息子。
政敵狩野の元に嫁いでから、2年。
玉響は夫が遺した子を必死に育ててきた。
夫が亡くなり、狩野の元へ嫁ぐことが決まったとき、命を絶とうとした。
だが、雅和の贈り物が、自分の中に宿っているのを知ったとき。
玉響は生きる希望を見つけ、狩野の仕打ちにも耐えてきた。
そして今日、雅和の無実が証明されたのである。
玉響は荷物をまとめ、家を出る決意をした。
「家を出ます。夫の無実が証明された今、私がこの家にいる理由などありませぬ。」
「何を言う!そなたは私の妻だ、身勝手は許さん!」
ゆでタコのように顔を真っ赤にして怒鳴る狩野に向かって、玉響は冷たい眼差しを向けた。
「私がお慕いしているのは唯一人でございます。」
誉を出て家を出た玉響は、有匡の邸へと足を運んだ。
有匡の邸は、かつて自分たちが暮らした家だった。
雅和亡き後、有匡が邸を買い取ったのだ。
「狩野の家を出てきた。もうあの家にはいるつもりはなかったからな。」
「そうか。」
有匡はそう言うと、玉響に微笑んだ。
「よく耐えたな。」
「誉がいたから頑張れた。」

夕方、狼英がよってきた。
「母上、お元気そうで何よりです。」
「久しぶりだな。これからはこの家で暮らせる。」
「この子は?」
狼英は自分の足元にまとわりつく子どもを見ていった。
「お前の弟だ。」
そう言った玉響の顔は、晴れやかなものだった。







メッセージいままで書けなくてすいませんでした。
玉響さん、雅和さんとの子を産んでました。
生きる希望を、誉ちゃんが与えてくれたのですね。

最終回までもう少し。
マイペースで頑張っていきたいと思います。

Novel&Message by 千菊丸さん


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