陰陽師・土御門有輝

第47話:狂気


作:千菊丸さん
琴弥は、陰陽寮でいつものように仕事に励んでいた。
そこへ、怒気を顔にはらませた狼英がやってきた。
狼英は、琴弥の方に突進すると、琴弥を池の底に沈めた。
琴弥は、激しくもがいた。
「お前の仕業だな!有輝を宮中から追い出したのも・・雅和様を殺したのも・・中宮様に呪詛をかけたのも、全部お前だろ!お前があのクソ坊主とつるんでやりやがったんだな!」
狼英は琴弥の頭をつかみ、池の底に沈めた。
「答えろ!」
琴弥は狼英の腕を振り払った。
黒髪はおどろに乱れ、泥と水で汚れていた。
「何の話?言いがかりはよしてよ。」
「とぼけんなよ!お前以外に誰がいる!」
狼英は琴弥を壁におしつけた。
琴弥は狼英を突き飛ばした。
人が集まってきた。
琴弥は突然泣き出した。
「ひどいや・・」
泥にまみれた髪をかきむしりながら、琴弥が言った。
「僕、雅和様や有輝のことは残念だと思っているのに・・どうして僕のことを疑うの?疑うなんてひどいや!」

「どうした?」
「狼英が琴弥のことを疑っているんだよ・・有輝と雅和様の事件でさ・・」
「あれは雅和様と有輝が・・」
「父親亡くした狼英は気の毒だけど、琴弥にあたっているだけだろ・・」
琴弥に同情の声が集まる。琴弥は狼英にぶつかりながらその場を去ろうとした。
すれ違いざま、琴弥は顔を歪ませて言った。
「お前達は不幸になるよ・・これからもずっとね・・」
狼英は琴弥に手をふりかぶった。
その時、琴弥は壁に飛び、自ら身体を打ちつけた。

「くっくっくっ・・」
誰もいない部屋に、琴弥の笑い声が響く。
「こんな怪我クソもないさ・・これであいつらの立場、悪くなる・・あの札を使ったのは、こうなるのを見通してのことさ!」
そのとき、部屋の御簾が激しく上がった。
「琴弥が・・怪我したって、聞いたから・・」
そこには、真っ青に立ちつくしている倫成がいた。
「琴弥なの・・?」
琴弥がゆっくりと顔を上げた。
「琴弥なんでしょう・・有輝の懐に呪詛の札を忍ばせたのも、雅和様を罠にかけたのも・・全部、琴弥の仕業なの?」
倫成は、琴弥の両肩を揺さぶった。

「・・僕はやっていないよ・・」
ゆっくりと顔を上げる琴弥。
「僕が有輝をハメたり、ましてや・・雅和様を罠にかけたりするわけないじゃない・・」
そう言った琴弥の顔は、狂気に包まれていた。
倫成は恐ろしさの余り、膝から床へと倒れた。
「僕ねぇ・・倫成のことだけは信用してるんだぁ・・」
琴弥はそう言うと、懐剣を取り出した。
「みんなバカばっかじゃん?哉友も、智靖も、康明も・・」
琴弥の傍を、ゴキブリが通った。
「倫成は僕を裏切らないよね・・」
「裏切るわけないだろ?」
琴弥は口元を激しく歪ませて笑った。
ゴキブリを潰しはじめた。
そして笑いはじめた。
「・・潰してやる。僕を本気にさせた倫成が悪いんだよ・・?」

「苦しめてやる、あいつら!!」








琴弥、狂う。
8月中はインターシップで忙しく、お邪魔する時間がありませんでした。
本当に申し訳ないとおもっております。
これからは定期的にお邪魔致しますので。

Novel&Message by 千菊丸さん


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