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琴弥は、陰陽寮でいつものように仕事に励んでいた。 そこへ、怒気を顔にはらませた狼英がやってきた。 狼英は、琴弥の方に突進すると、琴弥を池の底に沈めた。 琴弥は、激しくもがいた。 「お前の仕業だな!有輝を宮中から追い出したのも・・雅和様を殺したのも・・中宮様に呪詛をかけたのも、全部お前だろ!お前があのクソ坊主とつるんでやりやがったんだな!」 狼英は琴弥の頭をつかみ、池の底に沈めた。 「答えろ!」 琴弥は狼英の腕を振り払った。 黒髪はおどろに乱れ、泥と水で汚れていた。 「何の話?言いがかりはよしてよ。」 「とぼけんなよ!お前以外に誰がいる!」 狼英は琴弥を壁におしつけた。 琴弥は狼英を突き飛ばした。 人が集まってきた。 琴弥は突然泣き出した。 「ひどいや・・」 泥にまみれた髪をかきむしりながら、琴弥が言った。 「僕、雅和様や有輝のことは残念だと思っているのに・・どうして僕のことを疑うの?疑うなんてひどいや!」 「どうした?」 「狼英が琴弥のことを疑っているんだよ・・有輝と雅和様の事件でさ・・」 「あれは雅和様と有輝が・・」 「父親亡くした狼英は気の毒だけど、琴弥にあたっているだけだろ・・」 琴弥に同情の声が集まる。琴弥は狼英にぶつかりながらその場を去ろうとした。 すれ違いざま、琴弥は顔を歪ませて言った。 「お前達は不幸になるよ・・これからもずっとね・・」 狼英は琴弥に手をふりかぶった。 その時、琴弥は壁に飛び、自ら身体を打ちつけた。 「くっくっくっ・・」 誰もいない部屋に、琴弥の笑い声が響く。 「こんな怪我クソもないさ・・これであいつらの立場、悪くなる・・あの札を使ったのは、こうなるのを見通してのことさ!」 そのとき、部屋の御簾が激しく上がった。 「琴弥が・・怪我したって、聞いたから・・」 そこには、真っ青に立ちつくしている倫成がいた。 「琴弥なの・・?」 琴弥がゆっくりと顔を上げた。 「琴弥なんでしょう・・有輝の懐に呪詛の札を忍ばせたのも、雅和様を罠にかけたのも・・全部、琴弥の仕業なの?」 倫成は、琴弥の両肩を揺さぶった。 「・・僕はやっていないよ・・」 ゆっくりと顔を上げる琴弥。 「僕が有輝をハメたり、ましてや・・雅和様を罠にかけたりするわけないじゃない・・」 そう言った琴弥の顔は、狂気に包まれていた。 倫成は恐ろしさの余り、膝から床へと倒れた。 「僕ねぇ・・倫成のことだけは信用してるんだぁ・・」 琴弥はそう言うと、懐剣を取り出した。 「みんなバカばっかじゃん?哉友も、智靖も、康明も・・」 琴弥の傍を、ゴキブリが通った。 「倫成は僕を裏切らないよね・・」 「裏切るわけないだろ?」 琴弥は口元を激しく歪ませて笑った。 ゴキブリを潰しはじめた。 そして笑いはじめた。 「・・潰してやる。僕を本気にさせた倫成が悪いんだよ・・?」 「苦しめてやる、あいつら!!」 琴弥、狂う。 8月中はインターシップで忙しく、お邪魔する時間がありませんでした。 本当に申し訳ないとおもっております。 これからは定期的にお邪魔致しますので。 Novel&Message by 千菊丸さん |