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陰陽寮頭(おんみょうりょうのかみ)・賀茂忠之は、殊音文観父子に対して反撃する機会を狙っていた。 (雅和、お前の仇はこの私がとってやる) 無念の死を遂げた親友にそう誓って、忠之は拳を固めた。 そのころ、宮中では皇太后・三礼子(さとこ)が病に倒れてしまった。 文観はひそかに微笑んだ。 実はこれには裏があった。 皇太后の病は、文観に協力している薬師・正村英明が起こしたものであった。英明は皇太后の食事にひそかに毒を混ぜ、邪魔者の皇太后を亡き者にしようと企んだのである。 皇太后の病の知らせを聞いた忠之は、陰寮寮の狼英に文を書いた。その内容は皇太后の病の原因となる食事を探れと言うものであった。 狼英はただちに聞き込みを開始した。 すると、皇太后の食事に毒を盛った薬師を見たという料理人が数人いた。 忠之はその者達を邸に保護し、英明の正体を暴いたのである。 皇太后の病状は悪化の一途をたどるばかりである。 宮中では大臣や陰陽寮の者達などが緊急に集められた。 「皇太后様の病の原因はなんじゃ?誰か申してみよ。」 「恐れながら、申し上げます。」 狼英は立ち上がり、1枚の封書を差し出した。 「皇太后様は、お食事に毒を盛られたのではないかと。」 「なんと!」 あたりはざわめいた。 「根拠を申してみよ。」 「これを。」 大臣は封書を読んだ。 だんだん彼の表情が険しくなっていく。 「・・つまりこういうことか?料理人の目を盗み、主上から信頼厚い薬師が皇太后様のお食事に毒を入れたと?」 「恐れながら、目撃者が数人おりまする。」 「連れてこい。」 しばらくすると、忠之の邸から料理人達が宮中に参内した。 「お前達は薬師の姿をしかと見たのか?」 「はい、見ました。薬師様が皇太后様のお食事に毒を混ぜているところをしっかりと見ました。」 みな口々にそう答えた。 「薬師の正体は?お主達の知っている者か?」 「・・はい。正村英明様でございます。」 大臣は英明をねめつけた。英明は腰を抜かしていた。 「お主、気が狂ったか!皇太后様のお食事に毒を!」 「わたくしは確かに毒を盛りました・・けれども命じられたのです。」 大臣のあまりの剣幕に、涙声で訴える英明。 「誰に?」 「・・殊音文観様でございます。」 英明は罷免され、文観は今後宮中への参内は一切禁じられ、無期限の自宅謹慎を命じられた。 忠之の謹慎は解かれ、3ヶ月ぶりに陰陽寮に復帰した。 「忠之様、お帰りなさいませ!」 狼英をはじめをする陰陽生達が、忠之の復帰を喜んだ。 「狼英、よくやったな。だがこれからだ。」 「はい、お師匠様。」 その姿を、琴弥は恐ろしい形相で見ていた。 忠之さん、文観に反撃する。邪魔な皇太后を亡き者にしようとしたが、失敗し、宮中を追い出される。 次回は華月ちゃんが登場します。 Novel&Message by 千菊丸さん |