陰陽師・土御門有輝

第34話:夢


作:千菊丸さん
有匡は夢を見ていた。
「有匡、久しぶりだな」
「父上・・」
幼い頃死に別れた父。
「父上、聞きたいことがあります。」
「なんだ?」
「父上の心残りだったことはなんですか?」
・・・・・一瞬、間があった。
「私はお前を守りたいと思った・・だがお前を守ってやることができなかった。けれども火月が・・私の代わりにお前を守ってくれた・・残念だったことは、孫の顔が見られなかったことかな。」
有仁は有匡の手を優しく握った。
「どれだけお前は私が死んで辛い思いをしたことだろう・・忌まわしい血に苦しめられたお前を見ると思うと辛くてな。」
「父上。」
有匡は、有仁が自分の手を握っている手の上に、そっと自分の手を重ねた。
「・・私は、後悔してません。父上の子として、生まれたこと。」
有匡はそう言って、有仁に微笑んだ。
「私がこの世に生をうけていなければ、火月や子どもたちに会えなかった。何度も生まれてきたことを後悔したことがあったけど・・けれども、生まれてきてよかったと思っています。」
「そうか、私はお前に何もしてやれずに逝ってしまった・・お前は子どもたちを守ってやれ。」
「父上、また会えるでしょうか?」
「ああ、いつでも会えるさ。」
夢から覚めると、まだ手には、父の温もりが残っていた。









有匡さんと有仁さんとの会話。
幼い頃に父を亡くし、1人で頑張ってきた有匡さん。
そんな有匡さんを、有仁さんはあの世から見守っていたんですね。


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