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琴弥は職場の隅の方で仕事をしていた。彼の存在に、同僚達は気づいてもいない。 いや、気づいているが、気に留めようともしない。 琴弥は雅和のところにいた頃に人をさんざんいじめた。その結果、陰陽寮でいじめの被害者達が琴弥の恐ろしい二面性を語ったことから、琴弥は恐れられ、そして孤立していった。 仕事はバリバリとこなす琴弥だが、同僚との会話は皆無だ。挨拶さえも・・。 琴弥とは対照的に、有輝は同僚達と親しく付き合っていた。仕事はできるが、冷徹な琴弥とは違い、有輝は常に他人の立場に立って物を考える性格であるから、同僚達からは信頼が厚い。有輝の傍にはおのずと人が集まってくる。 琴弥はそんな有輝に嫉妬し、憧れていた。だが、どんなに努力をしても有輝のようにはなれないと知ったとき、その嫉妬は激しい憎しみへと変わっていった。琴弥は、有輝を潰そうと企んでいた。 (あいつに思い知らせてやる・・孤独を、そして僕の憎しみを。) 「琴弥、どうしたんだよ?」 琴弥の傍で仕事をしていた倫成が、琴弥に声をかけた。 「あいつが憎い・・。」 そう言うと、琴弥は有輝の方を見た。有輝の周りには、同僚達が集まっている。 倫成は琴弥の心中を察した。 「憎いよね。僕も憎いよ。土御門家を没落の憂き目に遭わせた罪人の子のくせに、のうのうと陰陽寮にいて、陰陽頭様からの信頼も厚い・・僕も憎くて憎くてたまらないさ。」 倫成は琴弥の手を握り、そう呟いた。 「ねぇ、有輝を潰さない?琴弥1人でやるのは無理でも、僕と2人なら出来るよ。」 琴弥は、倫成に微笑みかけた。 「いいね、じゃあ早速策を練ろうか・・」 琴弥と倫成が手を組む。 この2人、似たもの同士ですね。 同じ穴のムジナってところでしょうか。 職場で孤立している琴弥。 自業自得ですね。人をいじめて、人に好かれようなんて、甘いです。 倫成は、有輝が能力があることに嫉妬し、羨み、憎んでいる。 何かと人をうらやむと、自分のいいところを見ることが、おろそかになってしまう。 他人には自分が持っていないものがある。それは当たり前。 でも、自分には他人には持っていないものがある。それも当たり前。 倫成には、自分のいいところを見てほしいですね。 他人の持っている物をうらやんでばかりいても、それは手に入らない物だから、諦めた方がいいんです。 |