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文観は、琴弥から陰陽寮の様子を聞き出していた。 「父上、僕、決めたんだ。あいつが持っているものを、全て奪ってやるって・・」 そう言うと琴弥は掌の中の蝶を握りつぶした。 「さすがは血を分けた我が息子。父子2代にわたっての復讐を、共に果たそう。」 文観はそう言って、息子の頭を撫でた。 「父上の為なら、なんでもするよ。僕がいらなくなったら捨てればいい。」 そう言うと琴弥は自分の部屋に戻っていった。 文観はそんな息子の後ろ姿を満足げに見ながら、微笑んだ。 「よく笑っていられるな。」 几帳の裏で2人の会話を盗み聞きしていた有匡は、呆れ顔で言った。 「琴弥の言った意味を、考えてみろ。琴弥はお前の気をひきたいんだ。」 「そんなこと知ってますよ。私はいい息子を持ったものだ・・」 「その息子にいままで暴力を振るい、罵詈雑言を吐いたのは誰だ?」 有匡はキッと文観を睨んだ。 この男は、目的のためならどんなに残酷な手段でも考える。たとえば有匡の妹を犯し、無理矢理子どもを生ませるとか。 文観にとって、琴弥にとっては単なる陰謀という名の双六の、単なる1つの駒に過ぎない。陰謀のための道具。そこには愛情などみじんもない。 有匡の言葉は、文観の胸には響かなかった。 「あの子は所詮いらぬ子。有匡殿、人の心配をするよりも、自分の心配をしたらどうです?よくこんな邸にいられますね。」 そう言うと文観はバカにしたような目で有匡を見て笑った。 琴弥、お前は陰謀のための道具。それだけに過ぎぬ。 文観は我が子に対する愛情はみじんもないです。彼にとって琴弥は、有匡への復讐と陰謀のためだけの道具に過ぎないんです。話は変わるんですが、愛のない家庭に育った子どもって、本当に不幸です。「子どもが育つ魔法の言葉」(ドロシー・ノー・ノルト著・PHP研究所)にあったんですが、夫婦仲が悪くて喧嘩ばかりしたり、DV(ドメスティック・バイオレンス)の家庭の中で育ったこどもは精神的に不安定になり、暴力的な子どもに育つんだとか・・子どもにとって親が自分が成長する上での手本ですからね。 たとえば、両親が浮気して、子どものことなんか構わない家庭。夫婦仲が悪くて喧嘩ばかりして、そのイライラや鬱憤を子どもにぶつける家庭。母親がパチンコばかりして、家事もせず、子どものことなんか見向きもしない家庭。そんな家庭の中で育った子どもは、人の愛し方、愛され方を知りません。 琴弥はかわいそうな子です。父親の陰謀のためだけに生まれ、両親からも必要とされず、日々暴力と罵詈雑言を受け続け、愛されたことがない子です。 愛され方、愛し方を知らないから、琴弥はいじめることでしか人にアピールできないのでしょう。 誰かがいじめることは悪いことで、琴弥を愛してあげれば、琴弥の有輝に対する憎しみがなくなったかもしれません。 BBSにもMIYA様がおっしゃっていたように、雅和さんが琴弥にもっと目を向けていれば、琴弥は狂わなかったかもしれません。 後になって雅和さんは琴弥にいじめをやめさせ、愛してあげなかった責任を感じるのですが、それはちゃんと構想を練って書こうと思います。 独身で、子育て経験のない私が生意気なことを言って、すいません。 ここまで読んで下さって、ありがとうございました。 |