陰陽師・土御門有輝

第3話:事件


作:千菊丸さん
有輝は少し、父に不満があった。
それは、自分には厳しいのに、妹には甘いと言うことだ。
(お父さんは、僕のことなんか、どうでもいいんだ。)
そんなことを思うようになった時に、事件は起きた。

ある日のこと。
有輝と火月はいつもと同じように海で泳いでいた。
「にいさま、気持ちいいー」
「波に呑まれるなよ。」
2人が楽しく海水浴をしていると、浜辺に貴族の少年達がやって来た。身なりからして都から来たのだろう。
少年達は、華月を見て指を指して何かを言っていた。
ただならぬ様子を感じた有輝は、妹を引っ張っていった。 「華月、もう帰るぞ。」
「いや、まだ遊びたい。」
有輝は嫌がる華月の手を引っ張り、浜辺を後にしようとした。
「おい、お前。」
少年達の1人が有輝達に気がつき、声をかけた。
「お前、山の中にある邸に住んでるやつらだな?」
(なぜ、知ってるんだ?)
有輝は黙って華月の手を引いた。
「やっぱりお前達、有匡の子だな・・あの罪人の!」
「お父さんは罪人なんかじゃない!」 有匡を罪人呼ばわりされ、有輝はそう叫んで少年の髪を掴んで頭ごと海へと投げ飛ばした。
「罪人だろ!内裏を炎上させた上、朝廷の倒幕計画を暴露した!お前の親父のせいで土御門家は没落の憂き目に遭ったんだ!」
そう言って、1人の少年が、華月の頭を殴った。
「なにすんのよ、このデブ!」
華月は少年を突き飛ばした。
「覚えてろよ!」
3人は捨てセリフを吐くと、浜辺を後にした。

家に帰ると、怒り狂った有匡が待っていた。
「あれほど外に出るなといったのに、勝手に出て・・しかも喧嘩だと?ふざけるな!」
「だって父さん、あいつらが・・」
「うるさい、もう聞きたくない!」
有匡はそう言って、有輝の顔を叩いた。
「お父さんなんか、大嫌いだ!」









[千菊丸さんコメント]

妹ばかり可愛がる有匡に不満を募らせる有輝・・そんな中、浜辺で喧嘩をした有輝と華月は、有匡の怒りに触れ、弁解する有輝に有匡は有輝をぶつ・・。
よくありますよね、妹ばかり可愛がる両親、または上の子と何かと比較する両親・・最近ネットや雑誌とか見たら、増えてるような、こんな悩み・・。
有匡さんは有輝君の場合、始めての育児で不安が色々あって、有輝君に対して厳しい態度を取ってしまったと・・。
華月ちゃんは有匡さんにとって、たった1人の娘。可愛くて仕方がないのはわかる。けど有輝君をないがしろにしてしまった・・。
少しずつ、有匡さんと有輝君との間に溝ができそう・・。

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