陰陽師・土御門有輝

第24話:師との出会い


作:千菊丸さん
土御門家での生活は有輝達にとって相変わらず息苦しいものであったが、身寄りがないかれらにとって、ここを追い出されたらどこにもいくあてがないのだ。
だが、有輝は日々大人達の顔色を窺う生活に嫌気がさし、この家を出ていきたいと思った。
そんな中、事件は起きた。
ある日の昼下がり、有輝と土御門家の子ども達は過日に行われた暦の試験の結果を発表された。
いままで倫成が試験で1番だったが、有輝が土御門家に来てから、暦の試験はいつも有輝が1番だった。今回もそうだった。
倫成をはじめとする土御門家の子ども達は、それが気にくわなかった。罪人の子の分際で、自分たちをないがしろにするのはなにごとか、と。
試験の結果発表が終わり、有輝が部屋に戻る途中、廊下で怒鳴り声が聞こえた。
「返しなさいよ、このデブ!」
華月がそう言って智靖の鼻に強烈なパンチをして、懐剣を彼の手から奪った。
「罪人の子のくせに、生意気なんだよ!」
哉友が華月の頭を殴った。
「うるさいわね、実力の差でにいさまに試験で負けたからって、八つ当たりするのはやめてよね!うっとうしいたらありゃしないわ!」
哉友を押しのけ、華月はそう怒鳴った。
そこへ、倫成がやって来た。倫成は有輝の姿を見ると、鼻にしわを寄せて不快感を表した。
「お前なんか土御門家の恥だ。試験で1番になれたからって、いい気になるなよ。」
「お前らの努力が足りないんだろ。毎日遊びほうけて、勉強もしないで・・自業自得だよ。」
有輝はそう言うと、倫成を鼻で笑った。
「ふん、お前の親は罪人と化け物だ。能力があったって、どっちみち出世できないんだ。」
倫成が有輝を挑発した。
有輝は有匡のことを罵られ、倫成を壁へと投げ飛ばした。倫成は後頭部を柱に強打した。
「お前なんか、家柄だけを鼻にかけるクソだ!犬以下の存在なんだよ!」
そう吐き捨てるように言うと、有輝は妹を連れて部屋に入った。
後日、倫成が泰成に昼の事件のことをチクリ、泰成は兄妹達の部屋に入るなり、有輝を殴った。
「この疫病神が!倫成が傷物になったらどうするつもりだ!」
「ゴチャゴチャうるせぇんだよ、このクソオヤジ!クソの親からはクソッタレしか生まれないんだ!」
「なんだと・・お情けでこの家に置いてやっているものを・・出ていけ!」
「こんなクソの溜まり場、言われなくても出ていくさ!華月、匡喜を連れてさっさと出ていこう!」
有輝は妹たちを連れて、土御門家を飛び出した。
だが飛び出したはいいものの、身よりのない有輝達は日々野宿でその日暮らしをした。
そんなある日。
五条大路を歩いていた彼らは、空腹のためついに力つき、邸の塀にもたれて眠ってしまった。
そこへ、その邸の住人と思われる婦人が有輝達の前を通りかかった。
「これ、お前達、そんなとこで何をしている?」
婦人は有輝達を起こし、声をかけた。
「僕たち、帰る家がないんです。」
それを聞いた婦人は、
「そうか、そうか。なら我が家で暮らせ。」
そう言って有輝達の手を引き、邸の中へと入っていった。
この婦人が今京一の陰陽師・安倍雅和(あべのまさかず)の妻・玉響(たまゆら)だとは、このとき3人は思いもしなかった。









有輝達、倫成に父の悪口を言われ、殴って妹たちと共に家を飛び出す。
親の悪口言われたら誰だって怒りますよ。倫成はとんでもないガキだなぁ。
有匡さんに代わって、今度は有輝君に毒吐いてもらいました。
次回は安倍雅和さんと息子の狼英(ろうえい)君が登場します。

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