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唐土からの長い船旅で、有匡は疲れていたが、兵は彼に休む暇も与えず、京へと連行した。 京の街中を、異民族が道を歩いている様は、さながら使節団の行列のようで、その行列を人目見ようと、群衆が見物に押し寄せていた。 有匡は、疲労と不眠で、神経がピリピリしているのに、見せ物のように自分が扱われていることが癪に障った。 「もうすぐ王の元に着く。それまでしばらくの我慢だ。」 有匡の様子を船旅から見ていた隊長が、有匡に優しい言葉をかけた。 一行は、御所へと入った。一行を出迎えたのは、文観だった。 「長旅、お疲れさまです。主上がお待ちです。さあこちらへ。」 一瞬、文観と目が合った。彼の目は笑っていた。歓喜に酔っている目だった。 有匡はこの場でこの男を嬲り殺しにしたらどんなに気が済むだろうと腸が煮えくりかえったが、なすすべなく、帝の元に連行された。 紫宸殿の入口で、兵と別れ、あとは文観の後ろを有匡が歩く形となった。 「お前だな・・火月を殺したのも・・有輝達に刺客を放ったのも・・そして、私たち父子を引き離したのも・・全てお前が仕組んだんだな!」 有匡は文観の胸ぐらを掴んで叫んだ。 「ふふ、慧眼でいらっしゃる。私はね、有匡殿。あなたの大切な者をとことん奪っていくつもりですよ。」 「この、蛇が!」 有匡は激昂し、文観を殴った。 「何とでも言いなさい。私は鬼にでも蛇にでもなる・・神にでも・・」 そう言うと文観は、甲高い声で笑った。 「一体何の騒ぎだ?」 「主上、ご紹介致します。土御門有匡です。」 後醍醐天皇は、文観と目配せして、上目遣いで有匡を見た。 文観と有匡さんの再会。火月ちゃんの死も、有輝君達に刺客を放ったのも、全て彼の仕業だった。 蛇のような男です。執念深いというか・・恨みだけでここまでできるのかと思うほど。 本編でもそうですが、文観は今、天狗になってますね。 因果応報で、彼は生き地獄の人生を送ると思うんですが。 |