陰陽師・土御門有輝

第20話:辛い別れ


作:千菊丸さん
「紅牙狩りだー!」
外が騒がしいので有匡が出てみたら、元王朝の兵が紅牙の村を包囲していた。
だが、様子がおかしい。
紅牙狩りであるのに、紅牙族を一向に襲ってこない。どうやら彼らは誰かを捜しているようだ。
有匡は部屋に戻ろうとしたとき、兵の1人が有匡に気づいた。
「隊長、あの男です。」
隊長と思われる人物が有匡に近づいてきた。厳めしい顔で、男は言った。
「土御門有匡殿とお見受けする。」
「私に何か用か?」
すると男は、有匡の腕を掴んだ。
「そなたは倭国の王に仕える身である。先ほど王の使いから、そなたを倭国へお連れしよとの旨である。これからそなたを倭国へと送還する。」
「なっ・・」
有無を言わさず、男は有匡を連行していく。
「父さん!」
紅牙族の人垣から出てきた有輝が、ただならぬ雰囲気を感じたのか、飛び出して有匡の方へ駆け寄ってきた。
「有輝!」
「父さん、またどこかへ行っちゃうの?僕たちを置いていかないで!」
「有輝、京で会おう!それと・・」
「それと?」
「さっきは殴ったりして、すまなかった。」
「いいんだよ。父さんは母さんが死んで、悲しかったんだよね・・僕も信じられなかったから・・父さんの気持ち、わかるから・・」
「有輝、愛してるぞ。」
そう言うと有匡は有輝を強く抱きしめた。
「僕、大丈夫だから。京に行って、必ず父さんを救うから!」
やがて遠くなる父の背中に向かって、有輝は泣きじゃくりながら叫んだ。
(有輝、私も待っているぞ。)
日本へと向かう船の中、有匡は涙を止めることができなかった。









またしても父子に辛い別れが・・裏では文観が手を引いてます。
有匡さんは有輝君のことを本当に愛していて、心の底から信じているんです。有輝君も、お父さんのことを心から思っているんです。
互いに信頼しあっている2人は、必ず再会できます。
最近親子間の関係が危うくなっているような事件が多いので、小説の中では、互いに信頼しあい、尊敬しあっている親子関係を書くつもりです。

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