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「紅牙狩りだー!」 外が騒がしいので有匡が出てみたら、元王朝の兵が紅牙の村を包囲していた。 だが、様子がおかしい。 紅牙狩りであるのに、紅牙族を一向に襲ってこない。どうやら彼らは誰かを捜しているようだ。 有匡は部屋に戻ろうとしたとき、兵の1人が有匡に気づいた。 「隊長、あの男です。」 隊長と思われる人物が有匡に近づいてきた。厳めしい顔で、男は言った。 「土御門有匡殿とお見受けする。」 「私に何か用か?」 すると男は、有匡の腕を掴んだ。 「そなたは倭国の王に仕える身である。先ほど王の使いから、そなたを倭国へお連れしよとの旨である。これからそなたを倭国へと送還する。」 「なっ・・」 有無を言わさず、男は有匡を連行していく。 「父さん!」 紅牙族の人垣から出てきた有輝が、ただならぬ雰囲気を感じたのか、飛び出して有匡の方へ駆け寄ってきた。 「有輝!」 「父さん、またどこかへ行っちゃうの?僕たちを置いていかないで!」 「有輝、京で会おう!それと・・」 「それと?」 「さっきは殴ったりして、すまなかった。」 「いいんだよ。父さんは母さんが死んで、悲しかったんだよね・・僕も信じられなかったから・・父さんの気持ち、わかるから・・」 「有輝、愛してるぞ。」 そう言うと有匡は有輝を強く抱きしめた。 「僕、大丈夫だから。京に行って、必ず父さんを救うから!」 やがて遠くなる父の背中に向かって、有輝は泣きじゃくりながら叫んだ。 (有輝、私も待っているぞ。) 日本へと向かう船の中、有匡は涙を止めることができなかった。 またしても父子に辛い別れが・・裏では文観が手を引いてます。 有匡さんは有輝君のことを本当に愛していて、心の底から信じているんです。有輝君も、お父さんのことを心から思っているんです。 互いに信頼しあっている2人は、必ず再会できます。 最近親子間の関係が危うくなっているような事件が多いので、小説の中では、互いに信頼しあい、尊敬しあっている親子関係を書くつもりです。 |