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有匡は、部屋で有輝をぶった手を見つめていた。 火月の死を知らされたとき、有匡の中で何かがはじけた。気がつくと、有輝を殴っていた。 有輝は、目の前で母を失い、傷ついたに違いない。 父に殴られて、その傷はいっそう深くなったことだろう。 だが。 許せなかった。約束を破った息子を。 有匡はベッドに横になり、火月と過ごした日々を思い出していた。 幼い頃、一緒に孤独を慰め合った日々。 20年ぶりに再会し、自分の血を嫌悪して、火月を疎ましく思っていた日々。 そして京で、火月を愛することを心に誓った日。 幾多の困難を乗り越え、火月がメスとなって、喜んだ日。 火月の出産に付き添い、難産の末、有輝が無事に生まれて手を取り合って喜んだ日。 育児に悪戦苦闘した日々。 全てが美しく、幸せな時だった。 その時は、永遠にその時が続くと思っていた。 だが、幸せは無惨にも砕かれた。 有匡は声を押し殺して涙を流した。 その時。 「紅牙狩りだー!」 外が、急に騒がしくなった。 有輝君をぶったことに、激しく後悔する有匡さん。 有匡さんは、火月ちゃんの死を受け入れられなかったんでしょうね。 次回、父子に再び別れが。 |