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有輝達は、一路京へと向かっていた。調度品ごと邸を燃やされ、路銀もない彼らは、肩を寄せ合い野宿をしていた。何日も食べない日が続き、有輝達にとって、辛い旅路となった。 鎌倉を出発してから何日か経ったであろうか。有輝達は箱根の関に来ていた。 箱根の山は険しく、絶食状態の幼い兄妹達にとっては、これまた辛いものであった。 どうにか箱根の関を越えようとしていた頃。 京へと急ぐ有輝達の前に、数人の僧兵が現れた。 「死返球を渡して貰おう。」 「嫌だ、誰が渡すものか。」 有輝はそう言って通り過ぎようとすると、僧兵達は有輝の前に立ちふさがった。有輝はとっさに式神を放った。 「華月、逃げろ、早く!」 華月は匡喜を連れて逃げたが、僧兵につかまってしまった。 「妹を死なせたくなければ、死返球を渡せ!」 有輝は一瞬、ひるんだ。 その時、有輝の背後に僧兵が長刀を振りかざしていた。 「にいさまっ」 華月の声がしたかと思うと、血しぶきがあたりに飛んだ。 「華月っ!」 妹が斬られたと思った有輝は、振り向いた。 そこには僧兵の返り血を浴びた華月が立っていた。 「にいさまぁっ」 有輝は返り血を浴びた妹を抱きしめた。 一方、有匡は箱根の関で有輝達を探していた。 なんとしてでも有輝達を見つけ、唐土へと逃げなければ。 歩き疲れ、有匡は木にもたれ眠った。 『有匡、お前はこれから辛く、長い道が待っていることだろう。』 (父上、わかっております。これは私の宿命(さだめ)。) 朝の目覚めとともに、有匡は立ち上がった。 幼い3人にとって、京への道は厳しく、険しいものなんでしょうね。箱根の関は、滝廉太郎の「箱根八里」にあるように、難所ですから、子どもの足だったら辛いでしょうね。 次回、有匡さんと有輝君達が再会します。 |