陰陽師・土御門有輝

第14話:辛い旅路


作:千菊丸さん
有輝達は、一路京へと向かっていた。調度品ごと邸を燃やされ、路銀もない彼らは、肩を寄せ合い野宿をしていた。何日も食べない日が続き、有輝達にとって、辛い旅路となった。
鎌倉を出発してから何日か経ったであろうか。有輝達は箱根の関に来ていた。
箱根の山は険しく、絶食状態の幼い兄妹達にとっては、これまた辛いものであった。
どうにか箱根の関を越えようとしていた頃。
京へと急ぐ有輝達の前に、数人の僧兵が現れた。
「死返球を渡して貰おう。」
「嫌だ、誰が渡すものか。」
有輝はそう言って通り過ぎようとすると、僧兵達は有輝の前に立ちふさがった。有輝はとっさに式神を放った。
「華月、逃げろ、早く!」
華月は匡喜を連れて逃げたが、僧兵につかまってしまった。
「妹を死なせたくなければ、死返球を渡せ!」
有輝は一瞬、ひるんだ。
その時、有輝の背後に僧兵が長刀を振りかざしていた。
「にいさまっ」
華月の声がしたかと思うと、血しぶきがあたりに飛んだ。
「華月っ!」
妹が斬られたと思った有輝は、振り向いた。
そこには僧兵の返り血を浴びた華月が立っていた。
「にいさまぁっ」
有輝は返り血を浴びた妹を抱きしめた。

一方、有匡は箱根の関で有輝達を探していた。
なんとしてでも有輝達を見つけ、唐土へと逃げなければ。
歩き疲れ、有匡は木にもたれ眠った。

『有匡、お前はこれから辛く、長い道が待っていることだろう。』
(父上、わかっております。これは私の宿命(さだめ)。)

朝の目覚めとともに、有匡は立ち上がった。









幼い3人にとって、京への道は厳しく、険しいものなんでしょうね。箱根の関は、滝廉太郎の「箱根八里」にあるように、難所ですから、子どもの足だったら辛いでしょうね。
次回、有匡さんと有輝君達が再会します。

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