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「母さん、しっかりして!母さん!」 有輝は地面に倒れたまま動かない火月を激しく揺さぶった。 「有・・輝・・」 火月は弱々しく息を吐きながら、有輝の手を握った。 彼女の胸には数本の矢が深く刺さっている。白い着物の胸の部分は、緋の袴と同じ、血のように赤く染まっていた。 「華月・・これを・・」 火月は娘を呼び寄せると、懐剣を娘の手に握らせた。 「これは・・お父さんと・・結婚するとき・・私に・・くれたものよ・・これは・・お祖母様が・・お祖父様に・・結婚するときに・・渡した物でもあるのよ・・これを・・お母さんだと思って・・大切にね・・」 そう言って、火月は震える手で左耳から紅玉の耳飾りを外し、娘の左耳に付けてあげた。 華月は、母の胸で泣きじゃくった。 「有・・輝・・、妹・・たちを・・守るのよ・・お父さんと・・会うのよ・・京に・・行きなさい・・・早く・・・」 「でも、母さん!母さんを置いてはいけないよ!」 「有・・輝・・あなたたちは・・私の・・永遠の・・宝物よ・・母さんは・・見守って・・いるからね・・あななたたちが・・父さんと・・会える・・その日まで・・」 有輝は涙を堪えて、泣きじゃくる妹と弟を連れて母に別れを告げた。 「先・・生・・愛してます・・永遠に・・」 火月は、有匡と出会った日々のことを思い出していた。 有匡が幼い頃、傷ついた自分を介抱してくれた日々。そして、20年ぶりに再会して、共に暮らした日々。唐土での試練。京での試練。なかなかメスになれずに、苦しんだ日々。彼の妹ととの愛情の奪い合い、そして待望の妊娠・出産・・ 「先・・生・・あなたに・・会って・・本当に・・よかった・・」 そう言うと、火月はゆっくりと目を閉じた。 今回は、火月ちゃんが亡くなってしまいました・・有匡さんにとって、最愛の人であり、最大の理解者であった火月ちゃん。火月ちゃんの人生は、愛する人との間に子どもを産んで、幸せだったんじゃないでしょうか。 本編では、火月ちゃんがメスになるかどうかわからないのですが、私はメスになってほしいなぁ。 有匡さんは、火月ちゃん亡き後、どうなるんでしょうか。 |