夢想
〜 破壊された世界 〜


そのために―いま一人の、始まり

作:ナーヤさん

「名は?」
 きこえた愛想のない声に答える。
「ウェイル」
「また、ややこしい名前ですよね。...まあでも、あれがここに来る事はないでしょうから...」
「ステイル、という人物を知っているか?」
 今更何をきかれているのだろうか。そう思いながらも、素直にうなずく。
「では、世界を滅んでもいいと望んだ方ですね。」
「ああ。」
 そして、会えたから、満足している、という訳でもない。なんせ、おれはおいていかれたのだから。今度またあえたら、二度と離す気はない。
「執念深いな。」
 声のしたあたりを睨み付ける。それの何処が悪い。
「悪いとは申しませんよ。」
 心で考えた事に対してあっさりと答えが返ってくる。それが気に食わなかった。伝説の審判の門でもないだろうに...
「それがここだ。偽る事は許さない。」
「いつわってなど、いない。」
 むっとして答えると、なだめる口調の声が返ってくる。
「わかっておりますよ。ただ、そういう方もいるのですから。言葉と本心が裏腹の方も。ですが、あなたも、先程のステイルも、違うようですね。」
 ステイル。もう既に、他の世界にいるのだろうか。
「ステイルと同じところに行かせろ。」
「決めるのは、こちらだ。」
 一言で切り捨てられ、思わず睨み付ける。何処にいるのか分からぬ、声だけしている相手を。
「確認させて下さい。まあ、答えがきくまでもないという事はわかっているんですけど...あなたは、そのまま、ここで好きなようにいる、死堂と、また、新しく人生を行なうための、生路と。どちらを望みますか?」
 ステイルはここにはいないのだから。
「生路を選ぶ。」
 他の選択肢など要らない。ステイルとともに新しい人生を歩めるなら、それでいい。
「ステイルとともに人生を歩みたいのなら、今度こそ、後悔するような選択はするな。」
 もう二度と、そんな選択をするつもりはない。一番大事なものはわかっているのだから。
「ならば、そこの扉を開けて行きなさい。」
 言葉と共に、指し示されたように感じた方向を見ると、扉がある。おれは近づいて、その扉を開く。おれが、ステイルを追って行った時に見たような長い通路が続いていた。
「そのまま行くと扉がある。その扉の先の世界にステイルは存在している。出会えるかどうかは、お前しだいだ。」
 声に後押しをされるように、おれは一歩踏み出した。必ず出会う。そして、今度こそ、幸せになる。


―ようやく、みつけた。
―.........まあ、国とかに縛られずにすむだけ、ましかな。






Fin.





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