夢想
〜 破壊された世界 〜


閉幕―もしくは幕裏

作:ナーヤさん

「何を見ている?」
「ん。美夜の、あの夢の世界を見てるの。不便だね。あの子の夢の中にしか存在できないって。」
「したのは、誰だ?」
「だって、あれは夢でしょ。それだけで存在できるほど、はっきりとした世界じゃあないし...... でも、あれだけの執着はいつか、不幸になるよ。」
「人間はあれだけの執着に堪えれるほど、強くないからな。」
「普通の場合はね。狂気じみた執着は、不幸しか呼ばない。でも、この場合彼女はそういう目には遭わな いと思う。度がすぎる執着からは、逃げれる人だし。だけど彼女も、あまりにも自由でいすぎるから。彼 女を縛るのは、恋愛じゃあない。必要とあれば、多分、自分よりも他者を優先しちゃう。」
「それで、いつか不幸を招く、か。」
「そうならないといいんだけどね、......でも、やっぱり戦神って執着強いよね。」
「お前だったら、そこまで想われたいか?」
「答えの分かってる質問じゃないの?だけど......どうなんだろう。自分の事は見ていて欲しいけ ど...うーん......どっちかっていうと、私の場合は執着する方になるんじゃない?独占欲強い から。捕えて、離さないで、ずっと私だけの者にして、他の誰も傍による事も許さない。自分以外の人と かかわって欲しくないから。私だけのものになって欲しいから。いつか、そんな狂気じみた執着をしちゃ いそうで恐いな。戦神の事、言えないよね。」
「ふん。何にも執着する事の嫌いなお前がか?」
「......しないって言い切れるの?」
「言い切れるな。お前は、自分の事より他人を優先してしまうから。現に今だって実際にはしてないだろ うが。」
「.........あの人の事?だって、彼は私の者じゃあないし。それに、違いすぎるもの。あんな に近くにいるのに、あまりにも...かけ離れて...いる。」
「恋愛の対象ではないか。」
「............だって...恋愛じゃあないもの......あれは...私の居場 所......。あなたはいつも、その話にするね。やめよ、どうせ、答えのでない話なんだから。」
「執着されるのも、嫌いだよな。」
「縛られるのがいやだから。それ以前に自分が想われてるって事が、苦手なんだ。難儀な性格だよね。恐 くなる。離れて相手の事を考えるのはできるけど、自分の感情がわからない。恐いから近寄りたくなく て、憎悪に近い嫌悪を感じてしまう。」
「人間不信だよな。信じない、委ねない。近づかない。そもそも好きだといわれるのが......」
「......また蒸し返すの?」
「いや。そんなに不機嫌になるな。ただ、戦神と星。どちらにも似てるな。」
「なんかそういういわれかたされるのって.........」
「どうした?」
「ううん。ただ、あなたっていっつもそうだから。たまには驚かせようかなって......そおだ。今 度あなたに執着する人でもつくろうかな?」
「すぐに消されるだけだ。」
「......あなたってそういうことするよね。でも、できるの?結局やさしいくせに。」
「他人がどうなろうと、おれは、全く気にならない。お前はできないからな。」
「やめよ。そういう話をしにきたわけじゃあないんでしょ。」
「別に用があってきたわけじゃあないが。」
「それで私をいじめるわけ......まあ、いいけどさ。............私は当分ここで、 見てるよ。あなたはどうするの?」
「あいつの元に戻らなくていいのか?」
「時間軸が違うから。ふしぎだよね。出てきた直後に戻ることはできないんだよ。いったんあの人のもと からはなれると、戻るまでに多少の時間が必要で、長いと本当に日数単位になるんだよね。それで、どう するの?」
「付き合うさ。うまくいけば仕事ができるかもしれないし。」
「どういうこと?破滅型の愛かもしれないけど、でも、うまくバランスとりながら進むと思うけど。」
「だったら、'賭け'ないか?」
「............対象は?」
「戦神。」
「戦神か。...............」
「おれだって仕事をするのは嫌いじゃないからな。それに何処かを壊しておかないと、お前を、全てを破 壊してやりたくなる。」
「......自殺?まだそんな気分じゃないから。それに、それは許されてないもの。私の意思なしに は、できないでしょう。」
「だったら、仕事をさせるんだな。破壊を望んでいるから、代償行為が必要だ。」
「......彼が破壊を望めば、あの世界を滅ぼす、という事か。分かった。いいよ。」

「ああああ!よりによって戦神、あんな伝承信じて美夜を自分の世界に入れちゃうし!」
「自分で伝承をつくったくせにか?」
「だって、事実だったから。それはそのまま伝えてるでしょ。サンサーラにしてもそうだし、ウェイルの 世界に関しても。後、シークレルもそうしてるし。......じゃなくて。止めなきゃ。とりあえず、 美夜を元の世界に戻してくる!」
「まてよ。」
「...何よ。」
「それは関与する事か?」
「.........しちゃいけない?」
「あの世界はあの者達が勝手にするものだ。お前が関わるものではない。それ自体も、あいつらに任せる べきだろ。」
「...っ。でも。」
「.........」
「分かった。何もしない。」
「不満そうだな。」
「だって、本来単なる観察者でしかないのに。夢の持ち主。あの世界が存在する前に見ているだけ。なの に、どうして、この世界に来ちゃうんだろ。」

「とうとう世界の成り立ち、か。にしても、不安定だな、これは。」
「.........そうみたい。やっぱ単独で存在できない世界なのかな。」
「で、何処にいこうとしている?」
「だから、世界の修正。単独で存在するには、弱いから。多少の修正が必要でしょ?」
「別に、わざわざ力使わなくても、あいつにつなげちまえばいいだろう。」
「...美夜に?」
「ああ。いずれにしろ、夢として存在させてたんだろ。もともと不安定だから。成り立った今でさえ、結 局、不安定なままなら、つなげちまえばそれでなりたつだろ。」
「.........それも手だね。じゃあ.........と。」
「できたのか。」
「うん。でもこれで、あれは、世界として存在する。美夜が、夢としてみていない時間さえも。」

「そして、結果が、こうなってしまったのに?」
「どちらにしろ、あの世界の人が選んだ事だ。歴史はその世界の人と、その世界をつかさどる神がつくっ ているもの。他者の干渉は許されていない。その制約はおれにも、お前にもかかる。そのはずだろ。賭け は成立した。戦神は破壊を望んだ。では、おれが仕事ができるな。」
「まって、ちゃんともう一回問い掛けて。それで、本当に破壊を望むのなら、それならそれでいいわ。 だってあまりにも、悲しすぎる。他の事なんて多分、もう、考えられないくらいに。」
「...分かった。」







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