奇跡の夜
〜ガウリイバージョン〜


作:龍崎星海さん♪



今日は、クリスマス‥か。
どーりで、町を歩いていても、カップルが目に付く訳だ。
仲良さそーに手をつなぎ、あるいはお互いの体に腕を回して、歩いているカップル達。
宿に入ったら入ったで、1階の食堂で仲良さそーに食事をしているカップルがいるし。
オレはそれを、羨ましく思いながらも、指をくわえて見ているしかなかった。

‥‥オレだって、リナとあんな風に過ごしたい。
でも。恥ずかしがり屋のリナが、ンな事を許してくれるとは思えないしなー。
いや、それ以前に‥‥オレは、リナにオレの思いを告げられないでいる。
だって‥‥もし、振られたらどーするんだ!
いや、振られるだけなら、いーさ。
いつの日か、リナを振り向かせれば済む話だ。
でも、もし告白して。
『ちょっとー、ガウリイ。何言ってんのよ。
あんた、頭どーかしてるんじゃないの!?』
とか言って、笑い飛ばされたりしたら。
オレ、立ち直れない。
いや、立ち直るどころか、リナと一緒に居る事も出来なくなっちまう。
‥‥つらすぎて、リナの顔が見れなくなっちまうから。
それだけは‥‥イヤだ。
オレは、ずっとリナの側に居たい。
だから‥‥オレは、リナに告白できずにいた。



‥‥リナ、今頃何してるのかなー。
クリスマスの夜ぐらい一緒に居たいんだが。
オレが宿屋のオレの部屋で、ベッドに座って物思いにふけっていると。
ドアの外に、人の気配がした。
‥‥この気配は‥‥リナだな?
オレに何か用があるのかな。
「リナか? 開いているぞ」
部屋の中から、ドアの外のリナに声を掛けると。
一瞬驚いたような気配がした後で、ドアが開き、リナが部屋に入って来た。
「ん?何だ、リナ。何か用なのか?」
リナに声を掛ける。
「あ‥あのね、ガウリイ。話があるんだけど‥」
‥‥あれ? リナのやつ、どーしたんだ?
いつもと様子が違うな。
なんか‥‥モジモジしてる。
珍しーなー。リナがあんな風にモジモジしてるなんて。
あーやってると、リナも女の子なんだなー、って思えるよな。

「あのね、ガウリイ。あたし‥あたし‥」
よほど言いにくい事なのか、あのリナが言いよどんでいる。
どーしたんだろう。リナらしくない。
不思議に思って見ていると、リナは大きく息を吸い込むと、いきなり
「あたし、ガウリイの事が好きなのっ!!」
と叫ぶように言って来た。

‥‥え? 今、リナはなんて言った?
オレの事が好きだ、って言ったみたいだが。
オレの‥‥気のせいか?
いや、気のせいじゃない。
その証拠に、リナはギュッと目をつぶって、恥ずかしそーにしている。
‥‥リナが‥‥オレの事を好きでいてくれたなんて‥‥
あのリナが、自分から告白してくれるなんて‥‥
あまりの驚きに、オレの頭は真っ白になっちまって。
返事出来ずにいた。
目を開けて、そんなオレを見たリナは‥‥何を思ったのか、ひどく落胆した顔をすると、
「‥‥ごめん。変な事言って‥忘れてくれる?」
それだけ言うと、オレに背を向けて、部屋を出て行こうとする。

‥‥ダメだ。行かないでくれっ!!
そう思った次の瞬間。
オレは、リナを後ろから抱きしめていた。
リナは驚いたような顔をして、オレの方を見たかと思うと‥‥真っ赤になってしまった。
その顔を見ていると‥‥ああ、リナはオレの事を好いてくれているんだなー、って実感出来て。
オレは嬉しくなってしまった。

「リナ‥‥‥」
リナから伝わってくる、リナのぬくもり。
それがリナの思いのように感じられて‥‥オレは、天にも昇る思いだった。
「リナ‥オレ、今すっごく嬉しいんだぞ」
その思いを伝えたくって。リナにそう囁いてやると。
リナは驚いて、オレの顔を見た。
その顔があんまり可愛いくって、思わずリナの唇に軽くキスしてやると。
「な! な! なななななっ!!」
リナは『な』を連発し出した。
その様子がまた、可愛くって。
思わず笑ってしまったら。
リナのヤツ、バカにされたと思ったのだろうか。
「ぐっぞー‥は〜な〜せ〜〜!」
そう言って、ジタバタし出した。

離す訳、ないだろ?
やっとリナが告白してくれたんだ。
これで、胸を張ってリナと一緒に居られるんだ。
離さないさ。
「リナ‥‥愛してるぞ」
だから。暴れないでくれ。
別に、お前さんをバカにしたんじゃないんだからさ。
ただ、お前さんが可愛いな、って思っただけなんだから。

驚いて振り向いたリナの唇に思いを込めて、キスをすると、もう1度囁く。
「リナ‥‥愛してる」
と、リナが一瞬にして真っ赤になっちまった。
そのまま、恥ずかしそーに俯いている。
ああ、リナってこんなに可愛かったんだな。
リナを好きになってよかった。
リナを愛して、よかった。
リナに愛されて‥‥よかった。
「リナ‥‥愛してる」
もう1度言ってやると、今度は恥ずかしがる事もなく、嬉しそうな顔をするリナ。
やっとオレがリナの事を愛してるんだ、って分かってくれたらしい。



オレの腕の中には、リナ。
大人しく収まっていてくれる。
ずっと‥‥こうしていられたら‥‥いいのに。
そう思わずにはいられない。
でも。お前は、明日になれば。
朝になれば‥‥オレの腕の中から出て、走り出すんだろう。
それでもいい。
たとえ今だけでも‥‥夜だけでも、オレの腕の中に居てくれれば。
オレは、お前の後ろをずっと付いて行こう。
お前の後ろを、ずっと守って行こう。

クリスマス。それは、神が生まれた日だと言う。
オレは今まで、神なんて信じなかった。
神に祈った事もなかった。
でも。今日は。今日だけは、神に感謝しよう。
リナが生まれて来てくれた事を。
リナと出会えた事を。
リナに愛された‥‥事を。

切ない目をして振り向いたリナに、キスを1つ贈る。
そんな目をしなくったって、オレは側を離れないから。
ずっと側に居るから。
今夜、お前に誓うよ。







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