言葉色頃

作:秋月和至(おうぢ)さん

ただ一人、それは始まった。
僕の言の葉に、想いを込めて。

雨降りの日にも、風の強い日にも。
貴女に逢えるだけで良かった。

夢を見れた。それだけで幸せだった。
貴女の、流れる髪を、何気なく視線を追う。
それだけで良かったのに。

愛されたいと、感じたその時から。
僕の言葉に色が変わった。

貴女の白いその声。透き通るように僕の心に染みるけど、
僕の淀んだ言葉は、貴女のその心には届かない。

もし、僕の想いをすべて見せられるなら、
そんな都合のいい言葉だけが頭を巡る。

あの夏に出会った。
貴女に初めて出会った。

夏は何処へ行ったか。
風吹く、光り輝く世界で貴女に逢えた。

近づきたい触れたい。
貴女の声を聞いていたい。

夢を見れた。それだけで幸せだった。
貴女の、流れる髪を、何気なく視線を追う。
それだけで良かったのに。

現実を知るという厳しさが、僕だけしめつける。
進むことも、戻ることも出来ずに立ち尽くしている。

夏は何処へ行ったか。
僕の心を、その暑さで溶かして欲しい。

出会った、あの日のように。


Fin.



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