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お気に入りのCDが入ったコンポを、リモコンでスタートさせる。 CDは、小さなモーター音と共に廻り始める。 聞きなれた曲が、俺の耳元に届く。 「ふう。やっぱ、朝はコーヒーだよなぁ。」 優雅な朝のひと時を満喫する。 朝の光が、窓をぬけて、マグカップのコーヒーに差し込んでいる。 椅子に腰掛けて、伸びをする。 と、そこには。 「どーでもええんやけど、服きて寝ーやぁ。風邪ひくで、ハル。」 「うわぁ!!なんで、ヒカル!!お前がここにいるんだよ!!」 「なんでや、言われてもなぁ。俺も隣に住んでるしなぁ。窓つたってここに来てもええゆうたん、ハル、お前やし。」 壁に手をついて、髪をかきあげる、優男。 親友:松岡 光……………。 まぁ、説明はめんどくさいから省くとしてだ。 「省くんかい!!!」 「なぜだ、なぜ、俺の心の声が聞こえたんだ!!」 俺は、思わず頭を抱える。 刈上げた、短い髪が手のひらに刺さる。 「お前が思い切り、声出していうとんのじゃぁ!!ハルイチ(晴一)!!」 「し、しまったぁ!!!!」 「しまったやない!!しかし、お前、今何時や思ってるねん。」 呆れた顔で、置き時計を指差すヒカル。 その指の先に、は、7時半をさしていた。 「し、しまったぁ〜!!!」 俺は、思わず飛び起きた。 しまった、今日から学校だよ。 朝練はじまってるじゃねぇ〜かよ。 「…………おいおい。パンツぐらい履けって。」 そこを指さすな、ヒカル!! 「うるせぇ〜、童貞がぁ!!」 「やかましいわぁ!!純愛や言うてくれ!!」 おーおー。 顔赤らめて、そのルックスの割には、奥手じゃのう。 まぁ、それが、お前らしいけどなぁ。 神戸から来て6年、昔から全然かわらないのが良い所だよ。 ほんとにな。 神戸での震災。 あれがなきゃ、こいつがここに居る事もなかったんだよなぁ。 俺たちは違う空の下にいたはずなのに。 めぐり合わせの運てのがあるんだったら、俺は、大事な親友にめぐり合えたわけだ。 そう、出会ったころのこいつは、笑わないやつだった。 学校で、アニメの番組の話をしかけた時、こいつは笑った。 その時、俺はこいつの一番の友達になって、こいつを笑わせてやる! そうおもったんだ。 まぁ、こんなことは、恥ずかしくて本人には言えないけどな。 ヤベ!!浸ってるばあいじゃねぇよ!! 用意しなきゃ!! 「ちょっと待ってろ!!いま着替えるから。」 「あんじょー用意しいやぁ〜。」 ヒカルの声を背後に聞きながら、晩のうちから用意していた着替えに足を、腕を通していく。 着慣れた学生服に、身を包み、鏡で最終チェック!! これで、ボタンがずれてるとかなってたら、恥ずかしいからな。 で、愛用の赤の、アディダスのスポーツバックを担ぐと、 「準備完了!!」 「………お、最速の3分やで。」 自分の時計をみて、ヒカルが、そう言った。 毎回計ってるんかよ!! 「おら、いくぞ!!」 「あいよぉ。」 青色のナイキのシューズを履いて、玄関を出る。 ヒカルが出て行くのを確認したあと、カードキーで、一気にカギを閉める。 「じゃ行きますか!!」 俺と、ひかるはダッシュしていく、 風が、春の花びらの舞う季節を呼んで来ていた。 桜の花びらの舞う、新しい季節に、俺たちの物語が始まる。 輝きは、短くて、そして眩しく儚い。 「遅いでぇ〜!!なにやってんのよ!!」 あぁ〜聞きなれた、うざい声だ。 「わるいなぁ。 ハルのアホが今日から学校やって忘れとってん!!」 あ〜、おれのせいだよ。 「そうなん?そんならしゃーないなぁ。」 そーなんかよ!! 黙ってりゃ、言いたい放題だな、この関西人夫婦がぁ!! 「はぁはぁはぁ。 なんで、野球部のお前が、サッカー部の俺より体力あるんだよ。」 息もたえだえ、言葉を搾り出す。 「そりゃ、基本がちがうねん。」 満面の笑みを浮かべて、ヒカルは言った。 「そ、そか、そーゆー事にしといてやるよ。」 おれは、顔をやっとヒカルに向ける。 「だらしないなぁ〜ハルイチ君。 それでも、サッカー部なん??」 あぁ〜、朝から耳にきんきんする声だ。 よくヒカルは、こんなのと一緒に居て疲れないもんだ。 「うっせ〜ぞ、トモエ(朋絵)その渦巻き頭、なんとかしろよ!!」 ふと、トモエのの頭をみると、でかい渦巻きが左右対称に、頭の上にたなびいてる。 毛先は、バラバラとでている。 モーニング娘。に最近はいったやつみたいな感じだな。 あそこのメンバーは変り過ぎて、TVをあんまりみない俺には名前がわからん。 「なによぉ〜。長いんだから、巻かなきゃじゃまなんよ!!」 「じゃぁ切れ。」 トモエの非難に、間髪入れずに即答する。 「光く〜ん!!」 「あぁ〜よしよし、こんなんほって、先に学校いこうなぁ。」 泣きついてきたトモエに、ヒカルが、頭を撫でる。 かぁ〜、このバカップルがぁ!!! と、学校の校門だ。 トモエはいいよなぁ。学校が徒歩5分圏内で。 家から学校が見えてるからなぁ。 忘れ物もすぐとりに返れるしな。 もしかして、こいつ、それで、この学校にしたのでは?? 「ハル。何さっきから百面相してんねん。」 不思議そうに、俺の顔を覗き込む、ヒカル。 「うっせぇ〜。」 「うんじゃぁ。俺らは行くで。」 「おう。じゃぁ、後でな。」 ヒカルと、トモエは、野球部の部室に向かう。 今日は、ミーティングだけらしい。 いいなぁ。野球部。 そうそう、忘れてたが、トモエはマネージャーだ。 しかし、あんなどんくさいのが、よくマネージャーなんて勤まるもんだ。 まぁ、そんなに難しい仕事じゃないんだろ。 「クラス一緒だといいね。」 トモエが振り向き、八重歯が見える笑みを浮かべる。 「お前と一緒のクラスなら、退屈しなくてすみそうだ。」 「ぶぅ〜!!」 頬を膨らまして、また振り返りトモエはヒカルの後をついて行った。 さて、俺も行くかぁ。 キャプテン怒ってるだろうなぁ。 東山さんは、無表情で怒るからなぁ。 それが、余計に怖いんだが……。 「山口。」 こ。この声は………。 「キャプテン!!」 「今しがた、ランニングを終えたところなんだが、珍しく遅刻か。」 息も切らさず、汗ひとつかかないで5キロランニングしてきたとは思えない程に、歯切れのいい声で、キャプテンは俺を見下ろす。 俺は173センチなんだが、キャプテンは、185センチある。 視線は完全に見下ろしている。 「す、すみません。言い訳はしません、今日は朝練の時間、間違えてました!!」 俺は深々と頭を下げる。 「まぁいい。人間失敗は良くある事だ。こんどから注意すればいいさ。」 「はい。」 俺の肩を、ポンと叩くと、キャプテンは、笑顔を向けた。 こんどから、絶対遅刻はしねぇ!!! 「頑張ります!!」 俺も笑顔を向ける。 「よし、その意気だ!!」 キャプテンは、集まりだした、部員のもとへと歩いて行く。 ヤベ。着替える暇がねぇなぁ。 まぁ、今日は、見学させてもらおう。 「今日は、新学期初日なので、後はミーティングとする。」 キャプテンの声。ラッキー!! さて、眠くなりそうなミーティングを終えて。 「よぉ!寝ぼすけ坊主!!」 後ろからの声。 「坂本!!うっせーよ!!今日はたまたまだよ!!」 俺のダブルボランチの相方、坂本 崇(タカシ)だ。 「まぁ、サッカーバカのお前が遅刻するなんて、まぁないなぁ。またどうしてだ?」 漂々とした感じで、俺を見る。 金髪のオールバックは似合ってねーぞ。 というのを飲み込んで。 「今日がまだ春休みだと思ってたんだよ。」 「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜はっはっはぁ!!!最高!!ハルちゃんらしいよ。」 腹を抱えて笑うな! 「そのハルちゃんてのはやめろぉ〜!!」 「いいじゃん。もう、5年そう呼んでるんだから。」 笑みを浮かべたまま、俺の肩を抱くタカシ。 「お前と、中学で会ったのが間違いだったよ!!」 俺は、それをゴーインに、引っぺがす。 「つれないよ。ハルちゃん。」 「だきつくなぁ〜〜〜〜〜!!」 そんなこんなで、部室を出る俺とタカシ。 もうすぐ、クラスかえの表が張り出されている場所に近づく。 「ハルちゃん、同じクラスだといいねぇ。」 「俺は、今年こそ、お前と別のクラスが良い!!」 そこには………。 「あ、おはよう。山口君、坂本君。」 「「お、おはよう!!長瀬!!」」 俺と、タカシの声がハモる。 今なら、ゴスペラーズに勝てる!! などと、訳のわからない事が頭に浮かぶ。 目の前の栗色の髪が風に流れる。笑顔が眩しい。 そこにそんなには、可愛い訳じゃない、そんなに美人と言うわけでもない。 でも、そこに存在感を抱かせる少女。長瀬 千尋(ちひろ)が立っていた。 去年、同じクラスだった長瀬。 気楽に話せる女の子なんだが、この笑顔を向けられると、どーも歯車が狂う。 ヒカルより、男女の関係は間違いなく多い俺が、なんか、変な感触に捕らわれる。 「じゃぁ、私先に行くから。」 「おう。」 「あ、そうだ。山口君。今年も同じクラスだといいね。」 「あ、あぁ。」 気のないような俺の返事。 笑顔を残し、軽やかに振り返る長瀬。 後姿が、燐としてて、綺麗だと思った。 そして、その姿は、掲示板に群がる中へと消えた。 「ありゃぁ、ハルちゃんに気があるねぇ。」 「そ、そんな事あるわけねぇ〜だろ!!」 あったら、嬉しいんだが……。 どっちかと言うと、俺の方が気があるのかもしれない。 「あれぇ?ハルちゃん、どったの、顔がマジになってるよぉ〜。意外と、ホ・ン・キ・?」 俺の頬に、右手の人差し指を、突き刺すタカシ 「…………うっせぇよ!」 俺は、それを、力いっぱい握りしめる。 「いたいよぉ〜。ハルちゃぁ〜ん。」 「うるせぇ!」 「あれ?!ハル。こんなとこにいたのか?」 前から、ヒカルと、トモエが歩いてくる。 はいはい、ラブラブですねぇ。 「クラス表、見たんか?」 ヒカルは、視線を掲示板に送る。 「いや、まだだけど。」 「はぁ〜い!ヒカル!トモエ!!あいからわず仲がいいねぇ〜。」 耳元で叫ぶな、タカシ!! 俺を置き去りに、ヒカルに抱きつくタカシ。 こいつは相変わらず抱きつき魔だなぁ。 「タカシ君、何すんのよ!!ヒカル君は、私のやからねぇ!!」 お〜お〜。言うねぇ。トモエも。 「と、とにかく、ハル見て来いや!」 タカシに抱きつかれ、もがくヒカルからそんな声がした。 「お〜。じゃぁ見てくるよ。」 俺は、前に向かい歩みを進める。 徐々に掲示板が近づいてくる。 なんだ、このドキドキ感は………。 一組…………。山口、山口…………。 ないなぁ。 二組…………もないな。 ヤ行なんで、男子の下から探せるから楽なんだよなぁ。 三組は…………。 あ、あった、山口 晴一。お、ヒカルも一緒か。 なにぃ〜。今年もタカシいっしょかよ。 これで、5年連続か……。堪忍してくれぇ〜。 さて、トモエは……。おいおい、一緒かよ。 今年のクラスは騒がしいぞ。 …………………………………… そのまま、俺は、女子の欄を下に視線を送る。 長瀬………、長瀬、長瀬と…………。 あったよ、長瀬 千尋。 と、その時、 「今年も同じクラスだね。山口君。」 「うわぁ!!!」 俺は、心臓が飛び出たかと思うほど、飛び上がった!! 「ど、どうしたの?」 「い、いや、急に呼びかけられて、びっくりしただけだから。」 隣に立っていた、長瀬に、笑みを向ける。 「ご、ごめんね、山口君。」 すまなさそうに、シュンとする長瀬。長い髪が、さらりと肩から前に降りてくる。 「いや、きにすんなって。」 慌てて、手で制す俺。 「で、でも。」 なにか言いたそうな長瀬をさえぎって、 「じゃぁ、山口君じゃなくて、ハル、ハルイチと俺のこと呼ぶこと。」 「えっ?」 いきなりの俺の言葉に目を丸くしてキョトンとする長瀬。 「呼んでみ。」 「じゃ、じゃあ、ハ、ハル君。」 遠慮深げに俺の名前を呼ぶ長瀬。 「OK!!」 満面の笑みを浮かべる俺。 それを見た、長瀬の顔が、朱にそまる。 ドキッ!! ヤベ、なんか、その仕草にドキドキしてきたぞ!! 「すんません。そこのいい雰囲気のお二人さん。」 そこに声。誰だよ!! 「えろうすんませんけど、わいの名前あれへんが見てくれへんか?眼鏡忘れてみえへんねん。」 また、関西人かよ、俺の周りには関西人が集まる習性でもあるのか?? 「え、えっと名前は?」 「ありがとうお嬢さん、わいは 城島 英明(じょうしま ヒデアキ)ちゅーねん。城は、お城の城で〜」 話が長くなりそうなのをさとったのか、長瀬は、 「た、多分わかるから。」 と言って、すばやく表を見出した。俺も見ていく。 なぁ!!こいつも三組かよ!! どーなってんだよ。 「三組よ。」 笑顔で、ジョーシマに答える長瀬。 すると、ジョーシマは、目を細めて、 「ありがとう、お嬢さん。よーみたらなかなか可愛いなぁ。俺の彼女にならへん?」 はぁ!? 「あ、そか、となりの兄ちゃんがカレシやな。そら悪い事言うてもうたわ。堪忍な。」 そう言うと、ジョーシマは、さっさと振り返り、下駄箱に向かい歩いて行く。 「そや、兄ちゃん、そのお嬢さん、大事にしーやぁ!」 へっ?勘違いしてるぞ、ジョーシマぁ!! 「あ、そのあの。」 お互いに言葉が詰まる。 間が辛いぞ。どーして、こーゆー時に限って邪魔が入らないんだ!! 「……………………ハル君。」 うつむいたままの、長瀬。 「な、なんだ。」 なぜ、言葉がどもるんだ俺。 「私ね、去年から…………。」 意を決したように、長瀬がこっちを向く。 俺は、言葉を飲み込む。が、その時、 「ハ〜〜〜〜〜〜〜ルちゃぁ〜〜〜〜〜ん!!!」 ドカァ〜〜〜〜〜〜ン!! ぐはぁ!!だれだ、体当たりかましたのは!!わかってるけど!!こんなことする奴は。 「タ〜〜〜〜〜カ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜シ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」 おれは、抱きついたその人物を引っぺがす。 「長瀬とラブラブするなんて、いけずぅ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」 「うるせぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」 「は、はははははははははは。」 ふと見あげると、長瀬が目じりに涙を浮かべて笑ってる。 はぁ、長瀬、ひょっとして、俺に告白するつもりだったかもしんね〜んだぞ!!タカシ!! まぁ、いいかぁ。そのうちチャンスあるだろう。 やっぱこーゆーのは、俺からいいたいしなぁ。 その時がきたら、ちゃんと言うさ、好きだってね。 俺は、今わかった。長瀬 千尋が好きなんだってね。 「はよせな、始業ベルなるんやけどなぁ。」 「アホは、ほって、さっさと行こうや、ヒカル君」 「そやな、行こか、トモエ」 くだらないほどに、無駄で、でもそれが大事な季節がこうして幕を開けた
Fin. おうぢさんのコメント オリジナルです。 青春群像てのかきたくなったんで、勢いだけで書いてみました。 おかげで、300行ほどいきましたが………(笑) 一応続きが書けるようにはしてあるんですが、 続きをかくかどうかは感想しだいです(笑) まぁ、爽やかロセンで行ってみましたが、 いかがなもんでしょうか? 名前は、今回考えるの面倒なんで、ベタな名前になりました。 どれくらいの人がわかったか見ものなんですが(爆笑) 人気でそうなのは、タカシと踏んでますが(笑) 皆様のご感想、心よりお待ちしております。 それでは!! キャライラストとプロフィールを頂きました。 こちらからどうぞ! |