「暇人達の系譜」
(ジョーシマの黄昏ともいふ(笑))
〜グラフィティシリーズ外伝〜

作:秋月和至(おうぢ)さん

「なぁ、じょーしまぁ!!」
だれや、俺をよぶんわ!!
まぁ、この平仮名的表現で呼ぶのはただ一人やけどなぁ。
「なぁ、じょーしまぁてぇ〜」
たく、子どもかいな、このガキャ。
「なぁなぁなぁ!!じょーしまぁ!!」
あーもう、わかった。わかったて、返事するまで言うつもりやろ。
しゃあないなぁ。返事しとこ。
「なんやねん。堂本 サヤ。わいの名前がいくらタダや言うても連呼すんのは堪忍やわ………。あれ?」
わいの振り向いた先には遥か後方。50メートルぐらい先に手を振る、小娘がおった。
おいおい、近所に居るん違うんかいな……。
しかし、なんちゅう目の良さやねん。後姿だけで判別しよるで・・・・・。
いや、それ以前にどこまで声が届くねん。
校舎の端と、端やで。
堂本。わいは、おまえを応援団に推薦したるわ。





「で、なんやねんな。」
わいは、氷で水増しされてるコーラをストローで一気に流し込んだ。
「どーせ、暇なんやろ。あ、そうそう、こなだのやぁ写真できてん。」
と、堂本は、めっちゃ嬉しそうに、カバンから封筒を取り出した。
あ、そや、こないだのバカ騒ぎの写真やな。
夕方のマクド。マックやないで、マックはコンピュータなんやで。
そこんとこ間違えんといてや。
まぁ、話は少々それたけども、そう、夕方のマッ…マクド。
あぶない、あぶない。
わいも、危うく関東人になるとこやったで。
「なぁ、じょーしまぁ。なに百面相してんの?なんか、きもい(気持ち悪い)で。」
な、なんや、こいつ、ひとがやなぁ。わざわざ状況説明したろうか?
なんて思ってんのにやなぁ。
その賢明な姿見て、きもい。ってなんやねん!!
「あ、あ、あんなぁ。堂本。わいはなぁ。」
しかし、わいの言葉を遮って。まぁ、こいつはそんな奴なんやけどな。
ていうか、人の話は、最後まできかんかい。
「なぁ、これが、あんたがバク転して、下から怒鳴り込まれた時の顔や。」
なぁ、そんな写真何時とってたんや。
感心するわ。マジで。
「でな、これが、ヒカル君に抱きつく、ハルイチ君で。」
おい、俺のは、もう終わりかいな!
まぁ、ええけど。
あれ?こいつ、こんな感じで喋ってる奴やったっけ?
いつも、なーんか、壊れたスピーカーよろしく喋っとるなぁ。とは思ってたけど。
こんなに、女の子って感じやったかなぁ。
たしかに、胸とか見たら、女やわかるけどなぁ。
そーゆー意味やなくてやなぁ。
う〜んなんやろなぁ。
こう、仲間的女やなくて、こう、女の子ていうイメージやなぁ。
うん、それが、似合とるみたいやな。
なんて、夕暮れのマクドで、お、今回はちゃんと言えたで。
ふぅ、一安心やな。
そう、夕暮れの夕日が少し眩しい、以外に客が少ないオレンジに染まった、マクドで思ったんや。
お、われながら詩人ちゃうん?
「なぁ、さっきから、人の話ちゃんと聞いてんの??なんか、ぼーっと上の空みたいでやぁ。
そんなんやと、はよボケるで。脳の刺激が減るとボケやすいみたいやからなぁ。
あ、あと、ちゃんと、魚食べなあかんで、魚。DHA豊富やからなぁ。
ほら、ちゃんと聞きや、じょーしまぁ。」
ビシッと、わいを指差す堂本。
おいおい、人指差したらあかんてならったんちゃうか?
「わかったわ。あんがとさん、堂本。」
わいは、堂本の言葉に適当に相づちを打つ。
「へぇ?あんたが、素直にお礼いうなんて、明日は雪ちゃうか。」
そう返すか。
なぁ、お前、わいの事なんか芸人かなんかやおもてないか?
「なぁ、堂本。」
わいが言いかけたその時、写真のなかに、ハルイチ君の笑顔があった。
こいつ、まさか。
いや、そうかもしれんなぁ。
まぁ、黙といたろ。
しかしやなぁ。ハルイチ君の好きなおなごは誰なんやろか?
どうも、長瀬のちーちゃんとは、仲がええみたいやけどなぁ。
あぁ、なんかおもしろうないなぁ。
まぁ、こーゆーのは考えんとこう。
「で、なんやの?人の名前よんどいて黙るんかいな。」
堂本がにらんでるで。
「いや、すまんなぁ。その写真大事にしいや。」
わいは笑顔で言うた。
ごく自然な笑顔で。
「え、あ、その、うん。」
わいの言葉の意図を察したように、笑顔で肯いた。
堂本の、髪がかすかに揺れる。
「さて、いこか。」
わいは、腕時計を見る。
トレイを掴んで立ち上がろうとする。
「え、もうちょっとええやん。でやなぁ、この写真がな。」
と、わいのの制服の端をつかんで、椅子に座らせられた。
なんやねん、このマイペースさは………。
「でなぁ、これが傑作やねん。お〜い、じょーしまぁ。」
「おう、聞いるで。」
ま、えっかぁ。

で、マクドで1時間ほど、堂本の喋りを聞き続けた訳やねん。



「どーでもええんやけどなぁ。堂本7時半。廻ってるやん。」
わいは、時計を指差した。
奈良では、こんな時間やと、人あるいてへんで!!
そら言い過ぎか。
わいの家が田舎すぎただけなんやろうけどな。
「ええやん、明日は学校休みなんやし。」
そらな、明日はなんや忘れたけど、休みらしいんやわ。
創立記念日?だったような気がするんやけど、聞いてなかったなぁ。
ハルイチ君に言われるまで知らんかったしなぁ。
わいとしたことが、珍しいミスやな。
で前を歩く、堂本。
なんか、こいつとおると、ペース崩れるわ。
べつに、嫌やないんやけどな。
まぁ、なんちゅーか。楽ではあるけどな。
そんなんは、まぁどうでもええ訳で。
こんどはどこ行くんや。
ていうか、なんで、わいは付いていってるんやろう。
まぁ、目が離せんと言えばそれまでなんやけどね。
ちょこまかちょこまか、よー動くからなぁ。
ほんま、おかん(母親)の気分やなぁ。
実際おかんが、こんな気持ちしてるんかはわからへんけどな。
「なぁ。」
いきなり、堂本が立ち止まった。
「どないしたんや?」
わいは、その後ろで立ち止まる。
「あんな、まだ時間いける?」
な、なんやねん、いきなりかしこまってからに。
「ええけど。どこ行くんや。」
わいは、呆れた顔を浮かべる。
「ごっつい気持ち良くなれるとこ。」
笑顔で、そう言い切った、堂本。
「えっ?」
ど、どこに連れていかれるんやろうか。
キ、期待しても、男としても間違ってないやんなぁ。
「ほら、いくで。時間ないし。」
堂本が、わいの腕を掴んで歩きだした。
そ、そないにダイタンな!!
堂本と、わいは、街の雑踏に消えて行った。






「最高やぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
堂本も、恍惚とした声。
「さよけ。それは、良かったなぁ。」
わいは、椅子に腰掛けたまま、微動だにもせーへんかった。
「そんなん言うんやったら、サヤちゃんオンステージまだまだいくで〜。」
そうやねん、ここはカラオケボックス。
しかも、堂本のバイト先。
こいつ、こんなとこでバイトしとったんかいな。
店が暇な時は、片付けまで自分が全部する条件で、タダで歌わせてもらっとるんやて。
はぁ、ちょっとでも期待した、自分がアホやったわ。
まだまだ青いな、わいも。
「ちょうちょうちょうイイかんじぃ♪」
どーでもええけど、歌上手ないな、堂本。

「はぁ、気分爽快やぁ!!」
お前はな。
「じょーしまぁ。全然歌わへんねんなぁ。」
隣にならぶ堂本が、退屈そうに言うた。
「そやな。あんまし歌上手くないねん。」
わいは、そう言った。
「じゃぁ、なんか歌ってみてや。」
おいおい、ここでかいな。まぁ、人通りもほとんどない、住宅街のまんなかやけどな。
さすがに9時すぎたんで、堂本の家まで送ってる最中なんや。
まぁ、わいの家もそないに遠くないからええんやけどな。
「しゃあないなぁ。わい、ほんまに上手くないで。」
「ええよ。私も下手なんわかってるし。」
肯く堂本。
すっっと、息を吸い込み呼吸を整える。
が、
「あ、おねえちゃん。」
またかいな、堂本。
ほんま、話の腰おるの得意やな。
え?おねえちゃんやて??
わいが考えてる間に、堂本は、
少し先にいる髪の長い、制服を着た女の子に走って行きよった。
「サヤ〜。いま帰り〜。隣の人はカレシ??」
「ちゃうねん、ただのクラスメイトやねん。」
「またまた、彼が、こないだ言っとった人ちゃうの?」
「ちゃうちゃう、そんなんちゃうねん。」
な、なんや?彼がどうした?とか、クラスメイトとか?
「じょーしまぁ。双子のおねえちゃんの、希望(ノゾミ)ちゃんでぇ〜す。」
と、その女の子を紹介して、堂本は、姉に抱きついた。
身長差は、10センチぐらいか?
なんちゅうか、堂本。この場合は、妹やな。が、低すぎるねん。
わいも、身長低いけどな。
「こんばんわ。じょーしまさん、莢の双子の姉、ノゾミですぅ。」
えらい、のほほんとした人やなぁ。
でも、堂本に双子の姉がおるなんて初耳やなぁ。
しかも、通ってる学校ちがうんか?
「あ、おねえちゃんは、凄い頭がいいから、進学校かよってんやんかぁ。」
わいの疑問に、
「そんな、莢ほど物しってへんし。」
などと、仲の良い姉妹の会話が続く。
さて、わいは、帰るとするかなぁ。
「じゃぁ、堂本。わいは帰るわな。」
手を上げその場を立ち去ろうとしたんや、
「じょーしまさん、こんどは家にも遊びに来てくださいねぇ。」
「お、お姉ちゃん!!」
姉の声に、焦る堂本。
「へえ、気が向いたら、そうしまっさ。」
振り返らずに、手を上げてわいは歩きだした。
「じょ、じょーしまぁ!また明日ねぇ〜。」
堂本の、声に笑みを浮かべながら。
「おう、ほな明日なぁ。」
もう一度、わいは手をふった。



帰り道、わいは、ふと思い出した。
「………しもたぁ!!!伊藤家の食卓みるの忘れてたぁ!!!!」
頭を抱えたわいの絶叫は、夜空にひびいた。









絶対に続かない。



おうぢさんコメント。

やさぐれてたので、
文字で憂さ晴らしをしてみました。
作成時間約2時間ぐらいです(笑)
楽しんでいただけました?
じょーしまの黄昏でした。
堂本姉は、今後出番は無いです(笑)



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