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舞台そでから指示を出しながら太鼓を配置していく・・。 暗転中だからちょっとやりにくいけど、足元に気をつけながら司会の人に準備が出来た事を告げに行く。 「次は、桔梗学園、和太鼓部の演目です・・・」 アナウンスが流れてガウリイが気合を入れる。 「よし!お前らいくぞ!!」 皆、舞台の照明がつく前にスタンバイする。 勿論私とガウリイはステージ中央だから何だか恥ずかしい・・・。 かれこれ私は3年もこの世界から離れていたのに・・・どうしてこんな事になったんだろう? 確かあれは・・・・・・1週間前から始まったのかも・・・ Freeter? act.1 作:ティコさん カタカタカタ・・・・・・・・ 「お?リナここにいたんだな。」 後から声をかけてきて両肩に手を置いてきたがそちらをちらりとも見ずに 「あらガウリイ、職安の前の喫茶店にいるって言ってなかった?」 「ん?何か嫌な客いたから逃げてきた。・・・・にしても職安ってこんなに込むものだと思ってなかったから探すのに時間掛かったよー・・で、どうだった?」 同じ職安に出入りしている女の人達から恨めしそうな目で見られ、苦笑いを浮かべながら 「どうだったって、やっぱりやりたい仕事はなかなか無いわね・・」 後からパソコンの画面を覗いてきながら 「お?これなんてどうだ?」 言われて見ると、小学生相手の塾の講師で・・流石にそれはちょっと・・・ 「え〜、それなら他にいいのあったよ。ちょっと待ってね。確かこの辺に・・・・」 カタカタカタカタカタカタ・・・・・・ピ 「ん、これ。あの有名なゴメド呉服店が従業員を募集してるのよ。あそこのお店、品揃えはいいし、みんな着物だからスタイルよく見えるし、ちょっと憧れるよね〜」 私が成人式に来た振袖を付下(つけさげ)に変えた姿を想像していると 「ええ!!それはやだ!と言うより駄目だ」 後から文句が飛んでくる。人がせっかく浸ってたのに〜何だか命令口調って言うのがムカツクかも・・・ 「え〜!何で駄目なのよ?いいじゃない私の仕事なんだし・・・」 後から抱きしめられて言葉が止まる 「だめ。そんなところで仕事したら、・・・・他の男にリナの着物姿見せる事になるからいやだ!」 抱きしめる腕に力が篭る。さっきの間がちょっと気になるけど、ようは独占欲ってやつなんだろうなぁ・・・。 ガウリイ意外に独占欲強いからなぁ・・・・ははは。 パソコンを切り、パソ番号の書いてある受付票を返して職安を出る。 まだ5月だと言うのにかなり暑い。 初夏並みはありそうだ。ガウリイからヘルメットを渡される。 「で、どうする?駅前にでも行くか?俺まだ時間あるし・・・」 「おい、こんな所で何をしてるんだ?お前らは・・・。」 唐突に声を掛けられ振り返ると 「ん?・・・・ってゼル。ゼルこそ学校は?」 私の声にガウリイも振り返り暢気な声を返す 「お〜、久しぶりだな、ゼル。」 「ああ、旦那も元気そうで・・・。俺なら今日は休講だ。」 「そうなんだ。私らは職安に用があったの。特に私がね」 明るく返す。顔を合わせるのは成人式(1月)以来だが、よく携帯で話したりメールしてるせいかあまり離れてないみたいに感じる。 「そういえばリナが就職するはずだった会社は倒産したんだったな・・すまん」 はっと思い出し申し訳なさそうにあやまってくるゼルに 「ゼルが謝る必要はないよ。倒産した会社に問題があるんだからさ」 後ろから髪を引っ張られてガウリイの方を見ると 「なぁ、リナどっか喫茶店にでも入るか?話長くなりそうだし・・・」 ちょっと気が進まなそうに小さな声で 「そうね、ゼル、時間ある?あるなら少し喫茶店にでも入ろう」 「俺はまだ別に構わないが・・・。あまり長居が出来るわけではないぞ。」 「流石に5分10分しか居られないとか言う落ちじゃないでしょ?」 「まあ時間にすると、4、50分ってところかな」 「そう‥‥、なら行きましょうか。ゼル、移動手段はある?」 「あぁ、車だが?」 車かぁ・・・・言ってた用事ってもしかしてアメリアかな? まぁいいけど・・・。 「確か駅前の方に向かっていくとMOK!!って言う喫茶店あるよね・・・。桔梗学園の横通る道なんだけど・・・」 「あぁ、あそこか・・・別にいいよ。にしても懐かしい所が出てくるなぁ」 ゼルも大人っぽくなったけど、少年の様な笑顔が出てくるのはちょっと嬉しいかも。 「じゃぁそこにしましょ。ガウリイ、行こ・・・・って話聞いてた?」 話しながらもヘルメットをはめる。 「まあ一応、行き先はMOK!!だよなぁ」 ガウリイはフルメイスをはめ、単車のエンジンをかけ 「じゃぁ、ゼル先に行くぞ。後でな・・・」 私はガウリイの後ろにくっ付いている格好で 「先に行ってるね〜」 そう言うと風を切り始めた・・・・。やっぱり単車は風が気持ちいい。 おまけにあまり渋滞も関係ないし、ガウリイは単車で移動するのが多い。 私もガウリイも単車が好きって言うのはあると思う。 「あの二人も相変わらずラブラブだなぁ・・・本人たちは意識してないかもしれんが・・・・」 ゼルのつぶやきは風に流されて聞こえなかった。 本人も聞こえないようになってからワザとつぶやいた様で、苦笑いを浮かべながら駐車場へ向かって行く。
続く |