フェイス
〜グラフィティシリーズ〜

作:秋月和至(おうぢ)さん

〜Sayaパート〜

風邪、引いたんかなぁ。
朝からなんか、体が重いわ。
なんか、ずっとだるいし。
このサヤちゃんとあろう者が、風邪とは……。
あ〜。もう、休めばよかったんちゃうかぁ。
ほんま、しんどなってきた…………。
「おはよう。サヤちゃん。」
あ、ちーちゃんや。
相変わらず、かわええなぁ。
私が男やったら、ほっとかへんねやけどなぁ。
そういや、ちーちゃんの好きな人とかきかへんなぁ。
誰なんやろうか?
「おはよ、ちーちゃん!!」
とりあえず、笑顔で返事。
「サヤちゃん、どーしたの?顔色悪いよ。風邪?」
顔を覗き込んでくる、ちーちゃん。
髪綺麗だねぇ。なんか、自分がはねっ毛やから、
余計に羨ましいわぁ。
「うん、風邪かもしーひんねん。」
私は、ちーちゃんの言葉に素直に肯いた。
「そうなの?じゃぁ、あんまり無理しない方がいいよ。」
ほんまに心配そうな顔してくるなぁ。
うう、ええ友達やわぁ。ちーちゃん。
「そやね。そうするわぁ。あかんときは、早退するし。」
私は、そう言うと歩き出した。
う〜ん、ふらふらするわぁ。
「おい、今日も二人で仲良く登校か?」
こ、この声は。ハル君。
「「おはよう、ハル君。」」
私とちーちゃんの声かぶったんや。
「はよっす!長瀬、堂本。」
ハル君は、何時もの派手な赤色のアディダスのスポーツバックを
肩にかけて歩いてきた。
あれ?相方がおれへんやん。
「ヒカル君わぁ?」
と、私の問いかけに、
「ヒカル?今日は、なんか風邪引いたみたいで、寝込んでる。」
ちょっと寂しいそうな顔してるハル君。
なんか、あんま見られへん表情やわぁ。
「でも、今日は朝練ないんだね?」
笑顔のちーちゃん。
「ああ、今日は東山先輩が休みにしたからなぁ。」
「へぇ〜。珍しいねぇ。」
「俺は、がんばってるからかな。」
「またまたぁ、そのうち後輩とかに、抜かれても知らないよぉ。」
楽しそうに話す、ちーちゃんと、ハルイチ君。
なんかええ雰囲気やなぁ。
私居るずらいなぁ。
ちーちゃん、ひょっとして?!
そや、夏休みに、ライブに行ったとか言ってたよなぁ。
ほんなら、ちーちゃんって、ライバルなん?
いやや、そんなん。
すっごいいい友達やのに………。
「あ、あれ?」
目の前が暗くなってきたやん。なんで?
「お、おい!堂本!!!」
「サヤちゃん!?」
ちーちゃんや、ハルイチ君の声がしてる。
わかるんやけど随分遠い。
このまま、倒れたら楽なんやろうか………。

私の意識はそこで、途切れた。




「ハルちゃん、もう、教室戻った方がいいよ。
後は、保険委員の俺が見とくからさぁ。」
「タカシ、もう少しだけ。」
「……でも、ハル君。」
「まぁ、三人がいても邪魔なだけだし。ね、先生。」
「そうね、山口、たしかに貴方がここにいても仕方が無いわ。教室に戻りなさい。
あと、長瀬もね。」
「わかりました。」
「…………はい。先生。」

遠くに霞んでた意識が覚醒していく。
さっきの会話は、ハルイチ君や、タカシ君、ちーちゃんやんなぁ。
先生となに話してるんやろう。

ガラガラガラ。ピシャン。
ドアが閉まる音。

あれ、そんなんよりここは、どこなんやろう。
私、ベットに寝てるやん。
たしか、朝、ちーちゃんとハルイチ君と話ししとって…………。
そや、私倒れたんやなぁ。
うわぁ。なんか、体最悪にだるいわぁ。
別のもんみたい。喉もカラカラやし、まさに、風邪やね。
「お、堂本。意識戻ったみたいね。」
保健室の先生、野村先生は、私を覗き込んだ。
「坂本!堂本が目を覚ましたみたいだから、水持ってきて。ほらほら早く。」
先生、なんで、いっつも生徒こき使うんやろう。
おおよそ、保険医らしからぬ、口調やね。
結構男子生徒には人気あるんよねぇ。
「はい、先生もってきましたぁ。」
両手を添えて、タカシ君がたっぷりと水が入ったコップを持ってきた。
「はい、ありがと。」
ひったくるように野村先生は、タカシ君からコップを奪った。
「おきれる?堂本。」
ベットの縁に腰掛ける野村先生。
「なんとか、起きれそうです。」
私は、なんとか、体を起こす。
あぁ〜、なんちゅうか、こう体がいう事きかけんのは、しんどいわ。
「ほら、とりあえずこれ呑んで。」
と目の前にずいっと、水が差し出される。
もうちょい、優しくだしてほしいもんやけど。
「ありがとうございます。」
ゴクゴクゴク。
足りなくなっていた水分が全身に染み渡る感覚。
「じゃぁ、熱測ってね。」
コップと交換に、体温計が渡された。
手順はや!!
とりあえず、体温計受け取って脇に挿した。
「今日は、もう、帰った方がいいね。」
先生は、私を見つめながらそう言った。
「そうします。」
こくりと肯いた。
「今日は、担任の先生は、出張だから、副担には、私から言っておくから。」
「はい。」
「あ、そうだ、おうちのかたは?だれか家にいる?」
「両親共働きなんで。夕方まで誰もいないんです。」
「そうなの?じゃぁどっしよっかなぁ。……………坂本!」
野村先生は、頭をかくと、タカシ君を呼びつける。
「はい、なんすかぁ。」
顔だけを、こっちに向けるタカシ君。
おもっいきり猫背なんやけど。
でも、なにやってんの?タカシ君。
「じゃぁ、放課後なったら、送ってあげて。それまで、ここに寝かせておくから。」
「はい、了解っす。」
タカシ君は、立ち上がって敬礼する。
なんやねんな。軍隊ちゃうで。
Pipipipipi!
体温計が、示す体温は、
「38度2分。」
思わず呟いた。
「じゃ、堂本、あんたは寝ときなさい、なにかあったら、私呼んで。」
そう言うと、野村先生は、カーテンを閉めて、さっさと、自分の机に戻って行ったんや。
まぁ、ええかぁ、しんどいから寝よ。
私はすぐに、また、眠りの園に落ちていった。

「今、何時やろ?」
目が覚めた、最初の言葉がそれかい。
う〜ん。なんか、ずいぶん体が楽になったなぁ。
「よいしょ。」
体を起こす。
うん、楽に起きれる。
さっきとはえらい違いや。
「お、堂本、起きたのね。丁度起こそうかと思ったとこなのよ。」
野村先生が、カーテンから顔を出して、こっちを見とった。
「おかげさまで、だいぶ調子戻ってきました。」
私は、ベットから立ち上がる。
う〜にゅ。まだ体が本調子じゃないなぁ。
しゃーないけどなぁ。熱あるし。
「先生、今何時ですか?」
「もう、6限終わるわよ。」
野村先生は、笑顔で答えた。
「えっ?ほんまですか?」
嘘や、そんない寝てたん、私!
きぃ〜んこーん。
え、6限終わりなん。
ざわざわと、聴こえてくる声。
「ほ、ほんまや。」
愕然としてもうた。
今日は寝てただけ?
くぅ〜。これやったら、休んだ方が得してたかも・・・・。
「じゃぁ、坂本が送るから、やすんでなさい。」
野村先生が、ボー立ちしとった私につげる。
「も、もう大丈夫なんで、一人で帰れます。」
私は、ベットの下に置いてあったカバンを掴むと、
足早に、保健室を出て行く。
「ちょ、ちょっと、堂本待ちなさい!」
野村先生の声を気にもとめへんで、私は歩き出した。
下駄箱まで、もう少し、という所で、
「お、堂本。大丈夫か?」
「いま、堂本ちゃんを迎えにいくところだったんだけどね。」
「タカシ君!ハルイチ君。」
前方から二人が歩いてきとってん。
はぁ、せっかく一人で帰ろうとしてたのに、
タイミング悪いわぁ。
「東山先輩に言ってるから、一旦、堂本ちゃんところまで送ってから、俺ら練習出るから。」
タカシ君と、ハルイチ君は、そういうと、私を両脇から挟んで、連行していき居った。
恥ずかしい〜〜〜〜〜。


「ほら、もうすぐやで。」
私が指差した方向には、見慣れた風景が広がる。
我が家までもうすぐや。
「結構、堂本の家、学校から近いなぁ。」
とは、ハルイチ君。
「そうだねぇ。………あ、しまった。俺、携帯を机に入れっぱなしだったよ。
ハルちゃん、もうすぐだから、あとお願いね。俺、練習行っとくから。」
そう言うと、タカシ君は、逆方向にDASHで走り出した。
以外にそそっかしいなぁ。タカシ君って。
「坂本〜。そそっかしいなぁ。」
ハルイチ君も、同じ事思ってたんやね。
「ほら、ついたぜ。」
その後、あっという間に家についてしまったんよ。
「ほんまに、ありがとうなぁ。」
「友達だろ、当たり前じゃねぇ〜か。」
笑顔のハルイチ君。
「友達」その一言が胸に刺さる。
今なら、自分の気持ち言えるかもしれん。
ちーちゃんが、どう思ってるかわかれへん。
でも、今しか、私の気持ちは言われへんかもしれん。
言わないで後悔するより、言って後悔したほうがええ。
「ハルイチ君。」
私は、玄関先に立って振り返る。
「うん?」
ハルイチ君は、まっすぐ私を見てる。
「私なぁ。ハルイチ君がめっちゃ好きやねん!!
友達なんは嫌やねん。彼女になりたいと思ってる!!……じゃ!」
バタン。
私は扉を閉めた。
言った。言ってもうた。

なんか、無性に後悔だけが心に残った。



Fin.

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