|
Part.58 突然の別れ 花月は成田発ニューヨーク行きのANA511便に乗っていた。 (弓月め・・随分生意気になりおって・・) ボルドーを飲みながら、花月は最愛の弟のことを思い浮かべた。 父と死に別れ、生まれたばかりの弓月を育てた日々。 今やその弓月は医師となり、妻と2人の子どもがいる。 幼かった頃があっという間に過ぎ、弓月は花月の手元から離れた。 (生意気になったが・・やはり可愛いものよの・・) 花月はため息をつき、ボルドーを飲んだ。 その時、機体が激しく揺れた。 窓を見ると、飛行機の左翼が燃えていた。 (弓月・・兄は幸せだったぞ・・お前を育て、共に過ごした日々が・・色々と辛い目に遭ったが、兄は・・お前となら・・痛さや辛さも共有できた・・弓月・・お前を・・愛している・・) やがて機体は空中で爆発し、太平洋へと墜落した・ 患者の診察が終わり、弓月は居間に入り、テレビをつけた。 「臨時ニュースです。日本時間午後7時40分に成田発ニューヨーク行きANA511便が空中で爆発、太平洋に墜落しました。乗員乗客560名は絶望視されています。」 弓月は一瞬、耳を疑った。 511便・・あれには確か兄者が・・。 花月は飛行機事故で28歳の若さで他界した。 |