Desire

作:千菊丸さん



Part.53 懇親会(前編) Part3


翌朝、いじめっ子達の親は子どもを幼稚園に送り迎えするたびに、他の保護者の針のような視線に
耐えなければならなかった。
街を歩くと、どこからかひそひそ声が聞こえてくる。
ほらあの人よー
ああ、彰子ちゃんをいじめた子のー
一体子どもにどういう教育してるんでしょうねー
懇親会に出たんですってー
神経を疑うわー
子どもがとった行動が全て自分たちに跳ね返ってくる。
もう、ここにはいられない。
数日後、彰子をいじめていた子たちは親ともども、遠い所に引っ越していった。
なんとも苦い終わり方であった。
彰子はようやく幼稚園に戻り、今は友達と楽しく遊んでいる。
美那子はいじめっ子達が引っ越したと聞いたが、内心穏やかではない。
こうして彰子のいじめは、加害者と被害者、両者の心に大きな溝を残しながら終止符を打った。
そして4年後ー
彰子は7歳となった。
くりくりとした目は、愛嬌たっぷりだ。
あと4ヶ月で小学1年生だ。
彰子はもう3歳の時いじめられた記憶などなかった。
父が医師の免許を取り、東京都内にある自宅で開業してから、幼い頃一緒に暮らした祖父母や伯父達と

離れて暮らすことになった。
だが家が両隣ということもあって、伯父達との交流は途絶えることはなかった。
今日はクリスマスイヴ。彰子の誕生日だ。
彰子は母に公園で遊びに行くと言い、一人公園に向かった。
街はクリスマスムード一色だった。
彰子は何だか自分の事を祝ってもらえるようで嬉しかった。
飾り付けに見とれながら歩いていると、誰かにぶつかった。
「痛いわね。」
「ごめんなさい。」
顔をあげると、見覚えのある顔があった。
その顔は、かつて彰子をいじめた子の1人だった。
彰子はその子の名前を覚えていた。
「松子ちゃん・・」


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