Desire

作:千菊丸さん



Part.52 懇親会(前編) Part2


いじめっ子達の親は突然雰囲気が変わった会場に戸惑いを隠せなかった。
「中田さん遅かったね。さあ突っ立ってないでここに座って。」
自治会長に勧められ、いじめっ子達の親は出口に近い席に座った。
彰子がいじめが原因で入院したことは、地域では知れ渡っていた。
誰もがいじめっ子達の親に鋭い視線を向けた。
「渡辺さん、あの・・」
いじめっ子達の親の1人が総司に話しかけた。
「なんですか。」
総司はやけにそっけなく答えた。
感情のない、冷たい声。
一瞬声をかけたことを後悔したが、ここまで来て後戻りはできない。
「この前お怪我なさったんですって?何かと大変でしょう?」
怪我と聞いた途端、総司の眉がピクリと動いた。
恐る恐る言葉を紡いだ。
「彰子ちゃんの事は悪かったと思っています。でも子どもがしたことですから・・」
「許せとおっしゃるんですか?」
総司はキッと相手をにらんだ。
相手は言葉が出なかった。
「いいですか、私の姪はあなたがたの子どもにいじめられて、今入院してるんですよ。
 それを今更許せというのなら、お門違いもいいところですね。」
「でも入院するとはまさか思わなくて・・」
すると総司はテーブルをバンッと叩いた。
「まだ言い訳するつもりですか?私の姪ならず私の妹まで侮辱して、謝罪の言葉もないのですか?
 あなた方がそういう態度だから子どもがいつまでたっても変わらないんですよ。
 子どもがしたことだから?それで許されると思ったら大間違いですよ!
 あなた方のような人は顔も見たくないですね!」
総司の攻撃にいじめっ子達の親は反論の余地もなかった。
周囲は総司の味方をした。
「全く、事なかれ主義もいいところだよ。」
「本当にねぇ。」
懇親会には花月もいたが、いじめっ子達の親を完全に無視した。
「もう時間だから、帰るぞ。」
花月は会場を出ていくときに、いじめっ子達の親をちらりと見て、こういった。
「自分の子があんなことをしてるのに、公衆の場に出てくるなど図々しいにも程がある。」
花月が帰った後、重々しい空気だけが残った。
いじめっ子達の親は、逃げるように帰っていった。
彼らが帰った途端、元の明るい雰囲気が戻った。


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