Desire

作:千菊丸さん



Part.50 いじめ


弓月と美那子が結婚して彰子が生まれてから3年が経った。
3人は美那子の実家に住んでいる。
弓月が通う医療専門学校から美那子の実家まで歩いて5分足らずだからだ。
それと彰子が通う幼稚園から近い。
ある日、美那子は幼稚園に彰子を迎えに行った。
「あきちゃん、迎えに来たよ。」
「うん・・」
娘の元気のない様子を見て、美那子は疑問に思った。
そして数日後。
総司が買い物の帰りに、彰子を路地裏で見かけた。どこか怯えた様子だった。
総司が声をかけようとしたとき、彰子と同じ幼稚園に通う女の子3人組が彰子に詰め寄った。
「あ、ふりょうの子だ。」
「バーカ、バーカ」
「ふりょうの子はくるな、バーカ」
3人は彰子に石を投げ、砂をかけた。
「こらっ!」
総司が怒鳴ると同時に、3人は立ち去っていった。
その一部始終を、夕食の席で話した。
美那子はひどくショックを受けたみたいだった。
その夜、美那子の部屋からすすり泣きが聞こえた。
「娘のことでお話したいんですが・・」
翌日、弓月、美那子の2人は、保育士と話し合いをした。
すると保育士は、真実を話し始めた。
「3人は、彰子ちゃんに砂をかけたり、髪に粘土をひっつけたり、お遊戯の時に仲間はずれにしたり・・・とにかくひどいいじめはあります。」
「原因は?」
弓月は身を乗り出した。
「それは確か私が教室の片付けをしていた時に、数人のお母様達のグループが話しているのを聞いたんです。みんな入園式のことで話しているようでした。
しばらく聞いていると、彰子ちゃんのことで盛り上がっているようでした。
『ねえ、噂で聞いたんだけど、あの子の母親、17で子供産んだって本当?』
『ええーっ!どうりで若いと思ったわ。』
『でも何で中絶しなかったのかしら?よく親が承知したわね。』
『時期が早過ぎたんじゃない?いやぁねぇ。』
そういって彼女たちは笑いながら去っていきました・・。
それからです、彰子ちゃんに対するいじめが始まったのは・・。」
幼稚園からの帰り道、2人は一言も話さなかった。


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