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Part.46 奇跡 弓月の意識が戻った。 事故が起きてから、4日余り経ったことだった。 「美那子・・」 弓月は美那子の腹に触れた。 「産んじゃだめ?」 弓月は美那子に微笑んだ。 「いいよ、産んでも。産んだら、2人で育てよう。」 美那子は、弓月に抱きついた。 それから2人は、マンションの1室を借りて、バイトに励んだ。 そんなある日― 美那子は買い物をしに、地下鉄の入り口に入ろうとした、その時。 ドンッ 美那子は誰かに背中を押されて、階段の一番下まで転がり落ちた。 「あんたを幸せになんかさせやしない!」 美那子を押したのは、堕胎し自殺したはずみの母親だった。 (どうして・・何でこんなこと・・・) 美那子は気を失った。 気が付くと、美那子は産婦人科のベットの上にいた。 看護婦が重々しい口調で言った。 「残念ですが、流産しました。」 「ああそんな!嫌よ、嫌ー!」 弓月も赤ちゃんが産まれるの楽しみにしてたのに。 可哀相な赤ちゃん。 産めなくて御免ね。 本当に・・御免ね。 流産してから、美那子は寝込んだ。弓月は何も言わなかった。 (もう・・妊娠しないんだわ・・) 美那子は絶望の念にかられた。 だが。 奇跡が起こった。 美那子はまた、妊娠したのだ。 5ヶ月である。 美那子に、笑顔が戻った。 (今度こそ、あなたを産むわ。) |